「玉掛け」一筋に邁進するユニーク企業の秘密 モノづくりにコトづくりを加えて体質改善

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解答は、問題画面をクリックすると出てきます。問題のような吊り角度では、用具の滑りや外れが考えられ、また破断して吊り荷が落下する恐れがあります。吊り荷と玉掛け用具の間に吊り天秤(図の黄色い部分)を使用して、吊り角度を60度以内にするのが正解、というわけです。

クイズの答え(画像:大洋製器工業)

この問題では単純化していますが、現場ではもっと複雑な作業が細心の注意で行われているのだろうと想像できます。素人に「玉掛け」作業の大変さを教えてくれる、実に教育的なクイズだと思いました。

井戸端会(写真:大洋製器工業)

こうした一般向けの動きのほか、社内では、「定時退社」の推進、「親睦会」、そして「スマイルカード」の発行や「井戸端会」などさまざまな運動が実践されています。スマイルカードは、一緒に働く同僚に対し日頃の感謝の気持ちを書き、ボードに掲示して職場のモラルアップにつなげます。井戸端会は、その名のとおり、上司・部下・同僚がお菓子を食べながら気楽に語り合い、相互理解を深める場です。共に全員参加が原則、というのが一体感を醸成しています。

社長がポスターでアピール

岡室社長も負けじと、自らモデルとなって「考えていこうや」「やってみようや」「提案していこうや」「やっていこうや」の4カットのポスターでアピールしています。

おもろいポスター(写真:大洋製器工業)

いつも柔和でおとなしい感じの社長さんが、こうした思い切った行動に出るあたりが、いかにも“なにわの企業”です。さらに昨年9月からは、全社員が写り込んだ「LOVE ♡ TAIYO」のポスターパネルも掲示。見える化を楽しく徹底させています。

もちろん楽しいばかりではありません。全員でヤル、早くヤル、できるまでヤルの「3ヤル主義」運動も展開しています。「社員の仕事意識が格段に変わってきました」と岡室社長。社内改革に確かな手応えを感じています。

大洋製器工業は今年1月に創業80周年を迎えました。船舶艤装用の金物メーカーとして発足し、戦後、陸上用の金物市場にビジネスを拡大、建築・土木・運輸など基幹産業の発展を支えてきました。今後も「おもろい会社」を目指し、楽しくかつ厳しく、「玉掛け」一筋に邁進していってほしいと思います。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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