2014年、日本が本格復活する条件とは? みずほ総研チーフエコノミスト・高田創氏に聞く②

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今はそういう局面だと思います、にもかかわらず、金利も低く抑えてくれているという状況です。こうした局面での投資行動は、これまで20年間は株や不動産を「持ってはいけない」あるいは「持ったらやられてしまう(損をする)」というバイアスを払拭することです。確かに、この間、株や不動産を持ったために身を滅ぼした人も少なくありません。図では「悪の枢軸」(前回の記事2ページ参照)と書いてありますが、20年間それらを保有することを忌み嫌う状況にありました。これからは、そのバイアスを取り除いていきましょう、ということです。

先進国の株式が有望

高田 創(たかだ はじめ) みずほ総合研究所チーフエコノミスト。2011年から現職。テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』のレギュラーコメンテーターを務めるるなど、わかりやすい経済解説には定評。 「20XX 年 世界大恐慌の足音」(小社) 「国債暴落-日本は生き残れるのか」(中央公論新社)など著書多数。

――それでは先進国の株式が有望ということですか。

そうです。これまでの、「先進国の株式がだめだから、新興国の株式へ投資しよう」という時代から、ヨーロッパは出遅れているものの、日本とアメリカがリードする形で、先進国の資産市場が魅力的な時代に戻っていると思います。この場合の資産とは、株式だけでなく、不動産も一体として考えるべきでしょう。また、もちろん、長い目で見れば、新興国も悪いとは思いません。

――投資信託やETF(上場投資信託)などを購入している人も多いようです。投資信託を購入する際も、新興国株式投資型から先進国株式投資型に変えてもいい時期に来ていますか。

われわれ日本の株式に投資するものでも、いい時代が来ると思います。

――さきほど出遅れているという話がありましたが、ヨーロッパはいかがですか?

金融緩和で世界中の資産市場が盛り上がっている状況ですから、ヨーロッパの株式市場も上昇するかもしれません。ヨーロッパについては、問題を依然抱えているものの、すごく悪いと言われた南欧などについては見直しされる可能性もあります。その効果も期待できるのではないでしょうか。

消費増税の影響と、株価の関係は?

――消費増税と株価の関係についてお聞きします。お話を伺っていますと、株価は、消費増税の影響によって、年央には一度落ち込むものの、好調な企業業績を背景に再度上昇する、というイメージでしょうか。

消費税増税によって経済成長が一時的に落ち込むとの理由で、株価が停滞ないしは下落することはあるかもしれません。しかし一時的と考えていますし、マイナス成長にならないよう、日銀のもう一段の金融緩和実施もありうると期待しています。

――アメリカ経済の回復もプラスに働きますね。

その通りです。特に、アメリカは年の前半に回復しやすい傾向があります。最近「グリーンシュート」と言われるように、4月くらいまでは経済が強いようです。ただ、”Sell in May,Buy in October”と言われるように、4月以降はかならず落ち込んでしまって、その後、感謝祭明けのクリスマスくらいから良くなる。これがこの5年ほどの顕著な傾向です。いま、少々ぐずついているように見えますが、アメリカ経済の14年の傾向は、結局この数年と同じではないかと予想しています。

これは、アメリカの税制の問題や、決算対策などによるものと考えられます。4月頃までは回復期待が続くのに、第2四半期になると息切れするということがよくあります。このアメリカの「グリーンシュートの波に乗る」という意味でも、日本経済にとっては14年の3月くらいまでが非常に重要になってきます。この時期、14年の春闘当たりのところまでの景況感が良ければ、本当に14年度に向けて企業や個人が本当におカネを使うかもしれないからです。

今、本当に心配しているのは、消費税増税のところで景気の見通しに不安があるのではないか、14年4~6月以降に反動が出るのでないかということですね。そこを越えられれば、皆が、「ああ、大丈夫なんだな」と安心すると思います。私が政策執行の担当者だったら、14年の1~3月に、経済立て直しのためにかなりの政策を総動員すると思います。おそらく、日銀に14年の1~3月に、一段の金融緩和を促すと思います。なんとかこの時期に経済を盛り上げるようにしたいと思うでしょう。4~6月に消費税増税前の駆け込み需要の反動がありますので、そこを越えれば、企業経営も歯車が回っていくと思います。

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