2014年、日本が本格復活する条件とは? みずほ総研チーフエコノミスト・高田創氏に聞く②

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――今おっしゃったようなのシナリオなら、14年前半に株価の急落を心配しないで済みますね。さらに、14年夏のボーナスがきちんと出されれば、皆の気持ちも変わりますね。

心配して怖いと思っている時期にテコ入れをすれば、難しい時期を越えることができます。先に述べたように、自分が政策担当者だったら、そうします。確かに14年夏のボーナスは大事です。マインドが変わるには、そのくらいまで時間がかかるということです。人間の社会ですから、マインドが変わるということはこれまで20年間に染みついた企業の行動様式を覆すことになりますので、変更を決定するまでには長い時間がかかります。

13年度は結果的に最高益を達成する上場企業が結構あると思いますが、どの企業も決算期末まで慎重に業績を固めていくと思います。上方修正もなかなか出してこないのではないでしょうか。おそらく最後の最後で出すのではないかと思います。さらに、14年4~6月の時期に、消費税増税前の駆け込み需要の反動がさほどではないといったことなどが重なれば、先行き見通しへのマインドも明るくなると思います。それだけに、この13年度下期が重要なのです。

千載一遇のチャンスを活かせ

――恒例の『日本経済の明日を読む』(小社刊)では、「失われた20年から脱却できる年」だと強調していますね。

本来エコノミストは悲観的なことを言わないと品性を問われるようなところがあるんですが、「今回は目いっぱい楽観論で行くぞ」というスタンスで臨みました。

――その心は?

2013~14年は、日本が「失われた20年」から脱却できる、千載一遇のチャンスです。でも日本企業はまだまだ従来の悲観論から抜け出せていない。成長するためのおカネの使い方をあまりにも長い間していなかったので、簡単にはマインドが切り替わらないんです。でも、それではチャンスを生かすことはできません。

もう一度、先述の図を見ていただくと、「悪の枢軸」と表現しましたが、この20年間、日本の企業はバランスシートの右側では、株式や不動産といった資産を持たないことを徹底してきました。その結果、日本の上場企業のなかには無借金企業が珍しくなくなりました。そこまでダイエットしてどうするでしょうか。いつの間にか、バランスシートをスリム化することだけに喜びを感じてしまっている企業もあるのではないでしょうか。

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