米国株は、今後一段と上昇する マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏に聞く(上)
米国株の上昇は、相当長く続く
――NYダウは8月2日、1万5658ドル(終値)と史上最高値を更新しました。今後の株価をどう見ていますか?
短期的には多少の変動があっても、米国の株高は、これからまだまだ続くと見ています。たとえば昨年末からの日本株のような、急激な上昇はないと思いますが、今後も、ジリジリと株価が上昇していくと見ています。現在の堅調な株高は、相当長く続くのではないでしょうか。私は正直なところ、終わりが見えないとさえ思っているくらいです。
――そこまで米国株に対して、強気の見方ができる根拠は何ですか?
それは、米国の景気が本格的に良くなるのは、これからだと見ているからです。米国経済は2008年のリーマンショックによって、いったんは完全にどん底に陥りました。
しかしその後、FRB(米連邦準備制度理事会)はQE1(量的緩和第1弾)からQE3(同第3弾)まで、3度にわたる異次元の金融緩和を実施しました。
短期金利をゼロパーセントにするだけでは間に合わないと判断するや、マネタリーベースを大幅に拡大させる量的緩和を実施したのです。こうした措置に対しては批判もありましたが、現状を見れば雇用は徐々に回復し、住宅投資も戻ってきています。経済の足腰はかなりしっかりしてきた、と見るべきでしょう。
出口戦略をとれるほど、米国経済は復活した
――しかし、すでに当局は「出口戦略」(通常の金融政策へと舵を切る)の時期を探っています。長期金利もジリジリと上昇しています。もし、FRBが出口戦略を明確に指向したら、金利が上昇するなどで、マーケットが混乱する恐れは?
それは大丈夫です。理由は、「なぜFRBは、これだけ異例な金融緩和政策を取り続けてきたのか」ということの裏返しだからです。つまり、QE1からQE3までの金融緩和局面では、米国経済が失速し、デフレ経済に陥る恐れがあったからです。それが、ここに来て量的緩和のペースを少し緩めると言っている。それだけ経済の足腰がしっかりしてきたと、FRBが判断している何よりの証拠です。