楽天は「英語公用語化」でどう変わったのか TOEICスコアは830点、外国人社員は20倍に

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――これから10年、20年先の楽天を考えたときに、英語化、あるいは新しいテーマとして挙げているデータ化やデジタル化をもっと強く進めるために、今あるプロセスのどこを伸ばし、どこを修正すべきと考えますか?

二ーリー:実はすでに、三木谷さんとその話を始めているところだ。英語化の取り組みはかなり長くやってきたが、急速にやる、大胆にやる、トップダウンでやる、システム化する、という4点の重要性を強く認識した数年間だった。ここからは、これらすべてをより磨き上げていく必要があると思っている。

デジタル化は今、歴史が始まって以来最も速いスピード、産業革命よりずっと速いペースで進んでいる。ここにさらにフォーカスしていかなければ、企業として生き残れない。楽天の場合、幸いにして英語化の経験から得た全社的な学びや成功体験がある。これはデジタル化を推し進めるうえでもかなり有利になるし、ほかの企業の先を行っている。

三木谷:僕も、英語化なくしてグローバルの成功はないと思っている。アセンブリのハードウェアで勝負できる時代は終わっているし、あらゆる技術、サービスの進化が早くなっている中で、どんな業態であれグローバルコミュニケーションが必要になった。そもそも日本人は皆、学生時代に何千時間も英語を勉強しているわけで。それを考えれば、英語かなんてそんなに難しいことではないはず。ここから10年後、20年後、楽天がさらにグローバルな組織になる中で、英語化もさらに完成形に近づいていくだろう。

ニーリー氏の来日に合わせ、楽天では社員向けの講演会や役員向けにケースワークを実施。終始英語で活発な議論が交わされた(記者撮影)

すると今度はやっぱり、デジタル化。これによって世の中が抜本的に変わっていくと思うので、デジタル化を全社的に進めるための策を練っている。英語化はあえてあまり考えずに始めたが、今回は前よりは少し考えたうえで進めていきたい。プログラミングだけでなく、データサイエンスや統計の知識が付くと、考え方が根底から変わってくる。そういうものを、これから半年くらいかけてプランニングしていきたい。

楽天というケーススタディ

――楽天の英語化の事例は世界の140以上の大学で取り上げられているとのことですが、教員や学生は具体的にどういう部分に関心を寄せているのでしょう?

二ーリー:この事例は、企業における言語と文化のグローバル化を真正面から検証した最初の実例といえる。ハーバードビジネススクールに人を送ってくるような企業は、まず楽天のようなグローバルなマーケットプレイス企業に関心が高い。それから、非常に大胆で過激なトランスフォーメーションを行った事例であることも大きい。変化を起こしたときに社内ではどんな反応・反発が起こるか、どんな選択をしていけばいいか、どういう戦略を立てればいいか、どういう実行のプロセスが望ましいか。そういうことを学ぶ格好の機会だ。

もう1つ付け加えると、楽天という企業が世界的ブランドとして知名度を上げてきているというのもある。数十億単位の人がFCバルセロナのユニフォームに入っているロゴを目にしているのだ。実際、楽天のケーススタディを教えてほしいと要望をもらうことも増えた。そういう意味でも非常に人気の高いケーススタディになっていて、英語化の一部をお手伝いした私としてもうれしい限りだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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