普通の6人家族が「テロリスト」になった事情

世界中で増える「一匹狼型テロ」の恐怖

「ローンウルフ型」のテロが世界中で増えている(写真:Cathal McNaughton/ロイター)
アメリカで乱射事件が相次いでいる。11月7日深夜には、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサウザンドオークスにあるレストラン兼バーで銃の乱射事件が起き、20数人の死傷者を出す惨事に。その1週間前にはペンシルベニア州ピッツバーグにあるシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で男が銃を乱射し、11人が死亡、6人が負傷する事件が発生。また10月下旬にも民主党の有力者やCNNテレビなどにパイプ爆弾とみられる不審物が送りつけられ、10月26日に容疑者逮捕が発表された。
これらの事件はすべて単独犯の犯行と見られている。国際的なテロ組織は、「9・11」のような同時多発型テロから、今回アメリカで起きたような「ローンウルフ(一匹狼)型」へ、テロのスタイルを変えているという。その背景と恐怖を、兵頭二十八著『日本転覆テロの怖すぎる手口』から紹介する。

進化し続けているテロ戦術

生物進化論者のチャールズ・ダーウィンによると、変化し続けた生き物だけが、絶滅を免れて、何億年もサバイバルすることができた。

テロ戦術も、進化し続けている。現段階では、先進国においては同時多発型テロからローンウルフ型のテロへシフトしつつある。

「9・11」のアメリカ同時多発テロは、一味徒党となるアラブ系のスリーパーたち(国籍ではサウジアラビアが最多で実行犯19人中15人だった)が、ドイツやアメリカで時間をかけて選ばれ、めいめいに役割が振り当てられ、練習や準備を重ね、中東からの指令一下、実行されたという、手の込んだシナリオだった。

たとえば、4機の大型旅客機ハイジャックをスムーズに成功させるため、4、5人が一組となってそれぞれが広刃のカッターナイフを手にしただけでなく、小瓶に詰めた「CS催涙ガス」を最初に噴射。そのため、乗員も乗客もテロ行為を止められなかったようである(これは破片の分析によっても後日に確定された)。

しかし、このようなフルオーケストラ式、またはオペラ座型の犯罪プロットは、事前の打ち合わせの通信量が必然的に多くなる。先進諸国の対テロ部門は、その通信傍受と解析の技法を洗練させることで、重大テロをその実行前に検挙してしまう成功例を増やしている。この環境が最近のテロリストに変化を促し、フランスやイギリスではローンウルフ型のイスラム・テロに悩まされるようになっているのである。

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