普通の6人家族が「テロリスト」になった事情 世界中で増える「一匹狼型テロ」の恐怖
進化し続けているテロ戦術
生物進化論者のチャールズ・ダーウィンによると、変化し続けた生き物だけが、絶滅を免れて、何億年もサバイバルすることができた。
テロ戦術も、進化し続けている。現段階では、先進国においては同時多発型テロからローンウルフ型のテロへシフトしつつある。
「9・11」のアメリカ同時多発テロは、一味徒党となるアラブ系のスリーパーたち(国籍ではサウジアラビアが最多で実行犯19人中15人だった)が、ドイツやアメリカで時間をかけて選ばれ、めいめいに役割が振り当てられ、練習や準備を重ね、中東からの指令一下、実行されたという、手の込んだシナリオだった。
たとえば、4機の大型旅客機ハイジャックをスムーズに成功させるため、4、5人が一組となってそれぞれが広刃のカッターナイフを手にしただけでなく、小瓶に詰めた「CS催涙ガス」を最初に噴射。そのため、乗員も乗客もテロ行為を止められなかったようである(これは破片の分析によっても後日に確定された)。
しかし、このようなフルオーケストラ式、またはオペラ座型の犯罪プロットは、事前の打ち合わせの通信量が必然的に多くなる。先進諸国の対テロ部門は、その通信傍受と解析の技法を洗練させることで、重大テロをその実行前に検挙してしまう成功例を増やしている。この環境が最近のテロリストに変化を促し、フランスやイギリスではローンウルフ型のイスラム・テロに悩まされるようになっているのである。
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