凶悪テロに「日本の警察」は立ち向かえるのか テロ捜査の最前線と目の前に迫る「危機」
日本でターゲットになる場所はどこか
「日本も、テロと本気で対峙しなければならない時代に突入した」
2016年夏。警察庁幹部は、対面していた筆者に深刻な表情でそうつぶやいた。1週間前にバングラデシュのダッカで起きた、日本人7人が犠牲となった国際テロ事件のことも頭をよぎっていたのだろう。
「私は日本人だ! 撃たないでくれ!」
現地メディアの報道によると、犠牲者の1人はこう叫んだというが、テロリストは何のためらいもなく引き金を引いたという。昨今、世界各地、特に西側諸国を中心にテロが頻発している。2015年から2016年にかけて大規模なテロが相次ぎ、現在に至るまで、その勢いは衰えていない。
では、もし日本が標的となった場合、ターゲットになる場所はどこなのか。ここでは警察関係者などへの取材に基づき、現時点で想定できる、テロが起きやすい場所を順次挙げていこう。まずご紹介するのは「重要防護施設」、警察内部では「重防」と呼ばれる最重要警戒施設である。
「ISなどのテロ組織が日本の中枢を狙うとすれば、まず間違いなく首相官邸だろう。破壊に成功すれば、世界中に及ぼす影響は計り知れないからだ」。ある警察関係者は、その可能性を筆者に語った。
総理大臣官邸(=首相官邸)は日本の中心・千代田区永田町にある。日本のトップである内閣総理大臣が執務に当たっているほか、官房長官や官房副長官など、日本を動かす要職が詰めている場所でもある。さらに地下フロアには、有事の際の指令拠点となる「内閣危機管理センター」も備えられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら