凶悪テロに「日本の警察」は立ち向かえるのか テロ捜査の最前線と目の前に迫る「危機」
灯台下暗し——。実は、テロ対策に力を注ぐ警視庁本部のセキュリティは脆弱ではないかという声が囁かれている。そんな危機感を持っている警視庁関係者は多い。
2014年、警視庁は正面玄関と副玄関の受付の前に「ゲート」を開設した。入館者は受付で訪問先について記載する。受付の担当者は隣接する控室で待機するよう告げる。しばらくすると訪問先の案内担当者が来て、その場でプラスチックケースに入った赤色のICカードを渡される。ゲートには駅の自動改札のようにカードを接触させる部分があり、カードをかざすと電子音が鳴りゲートが開く。
部署によっては自室までにこうしたゲートを複数設けており、カードを接触させないと次に進めない仕組みになっている。厳重な入退室管理である。しかし、1980年に現在の警視庁本部が竣工してから、2013年ごろまでは警視庁本部のセキュリティは決して十分とは言えなかったと関係者は明かす。
警視庁はセキュリティを強化
「簡単に警視庁本部内に入れてしまうことを常々問題視する声が上がっていたことは事実。簡易なプラスチック製のプレスカードを所持する警視庁記者クラブ員に扮して、カードを偽造して入退室することも可能だった。しかし、注意しなくてはいけないのが面会者だ。荷物検査までは実施していないから、爆発物などを持ち込まれたらと考えると、空港の保安検査のようなシステムが必要ではないだろうか」(警視庁関係者)
2017年2月には、被害相談のため担当の捜査員との面会を申し出た男が待合室で自分の体を刃物でいきなり傷つけて、制止しようとした刑事部捜査二課員が軽いけがをする事件も発生している。この事件を受けて警視庁では、待合室の入り口にも警戒員を置くようになったという。
2017年8月現在、警視庁本部への入館は、これまで以上に厳重になっている。まず、正面玄関にはこれまで同様、皇居側と桜田通り側の2つの入り口にそれぞれ警察官が配備され、警戒に当たっている。
それぞれの入り口には鉄の門扉があり、さらに3本の鉄柱が可動式で上下するようになっている。さらに副玄関も、皇居側・桜田通り側の2カ所があり、正面と同様の警戒警備態勢が敷かれている。つまり、現在の警視庁本部は、内部に入ることさえ容易ではないほどセキュリティが強化されているのだ。
首都・東京の治安を預かる警視庁がテロの標的になる可能性はないのか——。ここで見てきたように、警視庁ではこれまで以上の厳戒態勢が敷かれているとはいえ、もちろん、その可能性はゼロではない。有事の際に警視庁本部がその司令機能を失えば、東京でのテロは、さらなる被害・混乱を引き起こすことになるだろう。
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