凶悪テロに「日本の警察」は立ち向かえるのか テロ捜査の最前線と目の前に迫る「危機」
当然、官邸の内外では厳重な警戒が敷かれている。正門には突入防止のための「アンクル」という鉄製の機材が置かれ、さらに可動式の鉄柱が3本立っている。そしてサブマシンガンで武装した警視庁機動隊の銃器対策部隊、警視庁警備部警護課の総理大臣官邸警備隊が睨みを利かせている。付近には、さらなる有事に備えて、警視庁第一機動隊の小隊(70〜80人規模の機動隊員からなる単位)が控えるバスが停車している。裏門にも同様の警備がなされている。
ドローン事件の衝撃
2015年4月22日。その首相官邸に衝撃が走った。官邸の屋上に、小型無人機「ドローン」が墜落していたことが判明したのだ。通報を受け、屋上はあっという間に100人近い捜査員で埋め尽くされた。公安部公安総務課、公安機動捜査隊、警備部警備二課爆発物処理班の面々が次々と集結。上空には報道機関のヘリが飛び交い、騒然となった。警視庁が機体を回収、分析を進めたところ、このドローンは発煙筒と放射性物質を含む土砂が投下できる仕組みになっていたことが判明する。
この「官邸ドローン事件」では、機体発見から3日後の4月25日、福井県内の警察署に男(41)が出頭。威力業務妨害罪で逮捕・起訴され、執行猶予付きの判決を受けている。男の供述によると、ドローンを墜落させたのは4月9日だったという。つまり墜落したドローンは、実に13日間も発見されなかったことになる。
警視庁関係者は、このことに衝撃を受けたという。「何らかの事情でドローンが制御不能となったからよかったものの、もしテロが実行されていたらと思うとぞっとする。もしもの事態、ありえないことを想定し対処するのが警備警察業務の基本だということを改めて痛感した」。
官邸と並び、日本の政治の中枢となっているのが「国会議事堂」である。国会の開会中には常に国会議員や省庁の官僚など、500人近い人間が議事堂内部に一定期間とどまることになる。
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