普通の6人家族が「テロリスト」になった事情 世界中で増える「一匹狼型テロ」の恐怖

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このため、ニコルズもテロを事前に知っていた共犯者として裁判で懲役12年を宣告されたが、あくまで主犯(裁判で死刑)のマクベイ自身がこの事件の計画者であり、実行者だったので、こうしたケースは「ローンウルフ型のテロ」とくくることができる。

また、少ない人数で即興的に徒党をなして、特定ヘイト対象に的を絞った銃の乱射事件などを起こす場合も、本人たちが特定外国や暴力主義組織との無関係性を主張して裁判で認められたなら、ローンウルフとくくることができるかもしれない。

中東から戻ってきた「IS崩れ」が家族を洗脳

厄介なのは、テロ組織が意図的に、ヘイト演説など何らかのメッセージ放送によって、在外の不満分子にあまねくテロをたき付け、そのアジテーションにたまたま感応した個人が、外見的には単独主犯となって引き起こすテロだろう。これは、殺人を伴う場合もあるだろうし、伴わないものもありうる。後者の場合は、どこの警察も捜査資源が限られていることから、はなかなか犯人がつかまらないことも予想される。

2018年5月、「JAD(Jemaah Ansharut Daulah)」というIS支持標榜団体が、インドネシアで対キリスト教会テロを発起した。まず5月8日に、自分たちのグループ幹部(既決囚)たちが収監されている刑務所を襲撃。5人の刑務官が殺されたが、156人の受刑者の脱獄は防がれた。その直後、キリスト教会への攻撃がスリーパーたちに命じられる。

ジャワ島東部のスラバヤ市内にあった3カ所のキリスト教会に対する同時攻撃は、近頃では珍しくない「自爆テロ」のスタイルであったが、ある事実が、人々を驚かせた。

なんと襲撃実行犯6人は全員が、リアルの一家族だったのである。

一般に知られるその国民性と、過激テロ活動とがイメージ上でなかなか結び付きにくいインドネシアで、今日、血なまぐさい事件を起こしているのは、過去にISに参加しようと若気の至りでシリアまで勇んで出掛けたものの、旗色が芳しくなく、インドネシアに舞い戻った、「IS崩れ」の連中が中心だ。

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