引退間近、京急「800形」は画期的な車両だった 今は貴重な「片開き4ドア」…写真で見る特徴

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800形の引退を控え、運転経験のある京急社員に車両への思いを聞いた。

「ツーハンドルからワンハンドルになったことでシンプルな操作で運転することが可能になった」
 「雨天時など天候に左右されることがなく運転することができた」
 「ダイヤル式の方向幕設定機は短時間で設定でき扱いやすかった」

と、それまでの車両に比べ操作性が向上したとの指摘があった。

「正面窓には中央にピラー(柱)があるのみなので見通しが良かった」
 「乗務員室に仕切りガラスがなかったので開放感があり業務しやすかった」

との声もあり、実用的な車両デザインだったことが乗務員の声からうかがえる。「技能試験の時800形だったので今でもこの車両を担当すると初心に帰る」と懐かしむ社員もいた。

800形については、その丸みを帯びた先頭部の形状から「『だるま』の愛称で呼ばれる」との解説が多い。ただ「あまり乗務員には知られておらず、800形を『だるま』と呼ぶ人はほとんどいない」というのが実際の現場の声のようだ。

今年が「最後の冬」

窓下に白線を入れた通常塗装の800形。来春までに見納めとなる(記者撮影)

京急電鉄が今年5月に発表した2018年度の設備投資計画によると、新造車両と車両更新に約69億円をかけ、新1000形車両を42両導入する。これに伴って800形は来春にすべて引退する見込みだ。

現在、京急線の駅でホームドアが取り付けられているのは、羽田空港国際線ターミナル駅のみ。同社は2020年度までに京急蒲田、京急川崎、横浜、上大岡、羽田空港国内線ターミナルの5駅でホームドアの設置を進める計画だ。4扉の800形がすべて引退することで、主要駅のホームの安全対策が進みやすくなりそうだ。

40年前、当時最新の技術を搭載して京急線に新たな風を吹かせた800形。今度は引退によって見慣れた駅の風景を一変させることになる。残された時間はあとわずかだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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