800形は現在、京急電鉄が運行する車両の中では唯一の4扉車となっている。かつて主流だった片開きの大きな扉は、今となっては貴重な存在だ。戸袋にも通常と同じ大きさの窓が付いており、側面の見た目に均整ある連続性を与えている。前照灯が1つしかない車両は同形式が最後になる。前面は非常口のない非貫通構造のため、都営地下鉄浅草線に乗り入れることはない。
車内は窓枠などにFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を採用した。初期に製造された車両は運転室の直後を除いて側面の窓が開閉できない固定式だったが、現在残っている車両は戸袋の窓以外開閉可能だ。戸袋は車内側のガラス板を手前に開いて、内側を掃除できるようになっている。網棚の下側に取り付けられたL字型の部品は、清掃の際にガラス板が開きすぎないようにするためのストッパーだ。
天井には「京浜急行」を略した「KHK」のロゴが付いた扇風機が取り付けられている。乗客の目にはまず触れることがないが、運転席の上部にも扇風機がある。一方で反対側には付いておらず、真夏に乗務する車掌の苦労がうかがえる。
登場時は3両固定編成だったが、現在はすべて6両編成に統一された。デビュー当時を知る金沢検車区のシニアスタッフ、角鹿(つのか)正次さんは「3両編成には違和感があった」と笑いながら振り返りつつ「当時の車両のなかでは部品数が若干少なく整備が楽になった」と思い出を語る。
京急800形
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品川寄りから見た800形
記者撮影
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愛嬌ある正面。窓の下に2つある小さなライトは「急行灯」
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同じサイズの窓が並び、均整の取れたデザインの側面
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先頭車の側面
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中間車の側面。屋根上のクーラーの形が先頭車と違う
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「KEIKYU」のプレート。かつては「KHK」だった
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車両のナンバーは浦賀寄りが1号車
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前面窓は2枚ガラスだが、一見すると1枚窓に見える
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種別や行先が幕の車両は今や少なくなった
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正面の窓下。急行灯は尾灯と兼用だ
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窓が大きく明るい室内。天井には扇風機がある
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客室天井の扇風機。「KHK」のロゴが入っている
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800形の特徴、幅1.2mの片開き扉
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年季の入ったドアのステッカー
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車両間貫通路のドアは、800形では6両中1カ所だけ
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車両間貫通路のドアが少ないため、隣の車両まで見通せる
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FRP(ガラス繊維強化プラスチック)を使用した窓枠
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戸袋部分の窓は清掃のため内側に開く
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荷棚にはストッパーが付いている
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正面に貫通扉がないため、運転室からの眺めはすっきり
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車外の種別・行先を設定するダイヤル
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乗務員室にある川崎大師の「交通安全」札
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京急で初めて採用したワンハンドルマスコン
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ワンハンドルマスコンを採用してすっきりした運転台
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窓が大きく明るい運転席
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ワンハンドルマスコンは右手で操作する形だ
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運転室の天井にある扇風機
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かつて梅屋敷駅で使われた「戸閉切離装置」
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車両基地で1500形(左)、新1000形(右)と並ぶ
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