オリックス・大京連合「不動産ビッグ3」を追撃 大規模複合開発や海外展開、大型M&Aに邁進へ

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両社は事業の重複はほとんどなく、相互補完ができるという。10月26日に会見したオリックスの矢野人磨呂・取締役財経本部長は、「あらゆる開発に対応できる総合不動産グループを確立する」と自信を示した。

2020年に開業する金沢駅前の複合施設では、米ハイアットに運営を委託するホテルと商業施設開発をオリックスが受け持ち、大京はマンションを開発・販売。ただ、互いに上場しているため、おのおのの投資基準に照らす必要などから、意思決定に時間がかかったもようだ。

2社連携で大規模複合開発を積極化

過去には物件の売り主から情報共有の許可を得られず、案件を逃すこともあった。一体運営になることで、土地・物件の仕入れ情報の共有などが可能になり、オフィスや商業施設、住居などを組み合わせた大規模複合開発案件への対応力を強化できる。

管理や流通の分野では、マンション・住宅以外の不動産にも事業の幅を広げていく。人口減少で住宅市場の見通しは厳しいが、大京単独では難しかった海外展開や大規模M&Aも加え、中長期で持続的な成長を狙う方針だ。

オリックスの不動産事業は全社利益の2割を稼ぐ。ただ、市況は過熱ぎみと見ている。リーマンショック前には債権を含め2兆円弱あった不動産の簿価は、資産売却を進めた結果、足元で大京と合わせても8000億円まで縮小した。大京の完全子会社化で迅速な意思決定体制を築き、来るべき市況変動に備える。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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