埼玉の中堅ゼネコン「破産」が波紋を呼ぶ理由

連鎖倒産のおそれ、五輪施設の工事停止も

エム・テックが管理棟建設工事を請け負っていた、東京五輪のカヌー・スラローム会場(記者撮影)

「うち(の会社も)含めて、連鎖倒産する可能性があるんです」「1億2000万円の借金ですよ、耐えられますか」「(経営陣は)家売ってないでしょ。工事会社は身を削っているんですよ」

10月4日、東京都内のある貸し会議室は怒りと悲哀にあふれていた。議題の中心にいるのは、この3日前に民事再生手続きを申し立てたゼネコン。取引先が一同に介し、今後の対応を経営陣や代理人弁護士に追及した。

倒産したのは、さいたま市に本社を構える中堅ゼネコンの「エム・テック」。負債総額は253億円。建設やリース会社を中心に債権者が887名いる。10月初旬にはJASDAQ上場の暁飯島工業や麻生フオームクリートが貸倒引当金を計上したほか、メインバンクである東和銀行も民事再生申立書に約23億円もの債権を提出している。

「5日後に手形が落ちる。このままでは不渡りになる」。会場では下請け会社からの悲痛な叫びがこだました。

我が世の春から一気に転落

エム・テックは強化コンクリート工事を祖業とし、近年は不振の建設会社を買収したり、東日本大震災に伴う復興工事を相次いで受注したりするなど、急成長を遂げて業界内で話題の会社だった。2017年7月期の単体売上高は244億円と、5年前に比べて約1.5倍に増えた。

好景気の波に乗り、破竹の勢いで業績を伸ばしていた同社だが、昨年末から立て続けに不祥事に見舞われた。

発端は昨年12月に発覚した建機販売・リース会社「PRO EARTH(プロアース)」の破たんだ。エム・テックは約10億円の筆頭債権者だったが、本来であればゼネコンはリース会社に代金を支払う債務者であるはず。プロアースで循環取引などの不正を取り沙汰される中、エム・テックが債権を有することに対して「金融機関から不信の目を向けられ、融資姿勢が厳しくなった」(エム・テックの向山照愛社長)。

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