発達障害の子が親に求める「ただ1つのこと」

栗原類、借金玉が社会に適応できた理由

借金玉:日本の学校の先生はボスですからね。とりあえず叱るという「儀式」に持っていく。

栗原:それで双方に謝らせて「ハイ、おしまい」というやり方ですよね。何がけんかの原因で、どうすればけんかにならずにすんだのか、先生が理解させてお互いに受け入れさせる文化や環境づくりがされていないのです。

発達障害の子がいちばん苦しむ、“一貫性のない親”

借金玉:僕は、自分の親や学校が間違った教育をしなければこんなにつらい思いをせずにすんだのに……という思いがあるので、栗原さんに育てられた類さんがうらやましいです。子どものことを考えて、間違っていると思ったら、一般常識に対しても「ノー」と言ったり、類さんのことを抑え込もうとしてくる周囲を押し返したりもしている。

たとえ周囲に理解されなくても、自分が子どもにとって必要だと思ったことを貫く、信念と強さがありますよね。発達障害の子どもの立場から言わせてもらうと、それがいちばんありがたいですから。

栗原:私の場合、自分自身の両親が反面教師になっているんです。子どもの頃はいくつも習い事をして塾にも通いましたけど、親は月謝を払うだけで私には無関心。進級状況や成績表を見てダメ出しするだけでしたから。勉強はできたので中学受験もする気満々だったのに、親の勝手な判断で受験させてもらえずハシゴを外されて。思いつきやそのときの気持ちで物を言う“お気持ちモンスター”みたいな親だったので、その都度、混乱しました。社会常識もまったく教えてもらえず、どう行動したらいいのかわかりませんでした。

借金玉:状況は僕も似ているかもしれません。僕の父親は、社会によく適応していて、発達障害とは無縁の人だったんです。だから僕には、とにかく「普通」であることを求めてきた。父親からすると、僕の考えていることがまったくわからなくて怖かったんだと思います。でもそれは僕も同じでした。怒られても暴力を振るわれても、「なぜそれをされるか」がわからないんです。だから、ボタンを押すとランダムにいろんなタイプの「ダメ出し」が出てくる恐怖がつねにありました。何が大変だったって、親に「一貫性」がないことがいちばん大変でしたね。

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栗原:発達障害者にとって、「一貫性」や「整合性」がないのはいちばんつらいですよね。それがあれば、なんとか前に進めるけれども、なければどうしていいのかわからなくなるので。

私は、親からは社会常識を何も教えてもらえませんでしたが、唯一与えられたのは本でした。頭ごなしに「読め、読め」と言われてお金をもらって文学の本を買って読んだりしましたけど、出てくるのは人格破壊者や社会不適応者ばかり。物語としては面白かったけれど、将来どうやって生きていけばいいのかは、ますますわからなくなりました。

それなのに親からは、「勉強しろ、いい大学へ行け」と言われて、「勉強する気を失わせたのはあなたたちじゃないの?」と思っていましたね。本を読めというなら、子どもが読んだ本について親も話して共有しなければ教育ではないと思うんです。子どもの生きる指針にならなければ、何の意味もないので。

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