(第15回)「四字熟語・故事ことわざ」で綴る就職支援・第二話『自己分析』

 スキルには、(A)コミュニケーション能力(B)セルフマネジメント(自己管理能力)(C)リーダーシップ(D)論理性(E)クリエイティブ力(創造力)(F)実行力(G)資格、技術・技能、などがある。(A)(G)にあげたスキルを整理していくことが“本来の自己分析”なのだ。一例をあげよう。リーダーシップのスキルには、

(イ)グループ運営をしたり、グループ活動を活発にすることがいつもできる。(イニシアチブ能力)
(ロ)グループ全体を見ながら状況把握をすることができる(公平な判断力)
(ハ)グループ全体の目的を明確にすることができる(計画立案型の指導力)
(ニ)他者を信頼し、他者から信頼をされている(対人関係適応能力)
(ホ)人の悩みを解決することができる(アドバイザー能力)
(ヘ)グループ全体で問題が起きたとき、意思決定をし、実行することができる(問題解決型の指導力)
 ひとくちにリーダーシップといっても、大きく6つのパターンに分類されていることがわかる。いわばトップリーダーシップもあればサブリーダーシップ、ボトムアップのリーダーシップも存在することになる。要は表面的な言葉の捉え方をしないこと。リーダーシップの中身を整理しなければ、『言葉の一人歩き』になってしまう。そこでこの六点について該当するものをチェックし、「なぜ身に付いたのか」「いつ身に付いたのか」を文章化することが重要だ。これが自己アピール、志望動機を作成する際の基本手順と考えてほしい。(詳細な自己分析の手法については、拙著「自己分析からはじめる就職活動2010年版=日本実業出版社」を参照していただきたい。)

 さて、三原則の(2)だが、自己否定をしないという意味は「あの時こうしていれば、こうなったのに…」といった過去の行動を悔いるようなマネはしないでほしい、となる。多くの学生が行う自己分析は幼稚園、小・中学校時代まで振り返り、自分自身の適性を探ることがセオリーになっているようだ。だが企業が見ているあなたは、まさに現在のあなただ。(もしくは現在に近い)「たら~れば」的な過去の振り返りの作業は、さして効果的とはいえない。あくまでも現在、あなたが送っている大学生活のなかでの自己の整理であるべきだ。偏差値などという得体の知れない数字のマジックから解き放たれた"あなたの大学生活"こそ、その中身こそ問われているのだとも理解してもらいたい。とりわけ高偏差値といわれる大学に入学したあなたは勘違いしないこと。大学名だけで採用される時代は終焉を迎えた。

自己分析の本質は続けて行うこと
自分の価値基準が変化しても問題はない

 三原則の(3)は、まさに就職活動をすることによって成長、進歩を遂げる皆さんの姿につながるものだ。自己分析の作業は一度行えば、それで終わりという単純なものではない。就職活動における自己分析のチャンスは、少なめに見積もっても16回はあると考えてほしい。初期の自己分析に始まり、資料請求・返送、エントリーシート、履歴書の作成、OB・OG訪問、インターンシップ、セミナー、合同企業説明会の出席、筆記・面接試験、そして内定に至るまで、自己を振り返る機会は枚挙に暇がないほどだ。くれぐれも、最初に行った自己分析だけで事足れりという発想には陥らないでもらいたい。アメリカの新しい大統領バラク・オバマ氏の言を拝借すれば、まさに『CHANGE』だ。チェンジ=変わることを怖れてはならない。新たな気付きによりこれまでの自分の考えを改めることは決して誤りとはならない。むしろ正道と呼んでおきたいものだ。『風は吹けども山は動ぜず』ではなく、『経験は愚者でさえも賢くする』のだから…。皆さんを愚者とみなすことには、いささか気が引ける面はあるのだが…。許してもらいたい。
菊地信一(きくち・しんいち)
昭和27年仙台市生まれ。仙台一高、早稲田大学商学部卒業後、株式会社文化放送ブレーンを経て、平成2年より「現代職業工房」を主宰。この間一貫して人材採用をテーマに、採用戦略・計画に関するコンサルティングを行ってきた。企業と学生、両者を知り尽くした公正な立場に基づく本音のアドバイスは、企業セミナー、各種講演会でも好評を博している。『履歴書職務経歴書づくりの達人』(中経出版)、『就職活動のすべてがわかる本』(同文館出版)、『日経就職百科』(日経事業出版社)、『自己分析からはじめる就職活動 2010年度版』(日本実業出版社)、『キャリアデザイン入門』(光生館)など、就職関連の著書は45冊を数える。
現在、日本工業大学教授、北星学園大学非常勤講師、東北学院大学非常勤講師、コズモワールド顧問、文化放送キャリアパートナーズ学生支援部顧問キャリアアドバイザー、日本ジャーナリストセンター主任講師を務めるほか、講演・講義を行ってきた大学は85校にのぼる。
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