「VRアミューズメント」が次々登場する舞台裏 渋谷に2施設オープン、VR映画も登場

拡大
縮小

VRCCは映画館に、ワイヤレスのVRヘッドセットを使った最大約70人のVR同時視聴システムを提供。システム一式の販売、レンタルの双方を準備し、複数の映画館運営会社と導入を交渉中だ。

VRは利用者の映像への没入感が強く、休憩のない視聴時間は最大で30~40分と、短編作品が中心となる。VRCCは東映がIPを保有する仮面ライダーなど特撮映画のほか、ホラー映画、アニメ映画、アイドルなどの音楽ライブ映像など、多彩なVRコンテンツを準備しているという。

VR機器普及の起爆剤となるか

IDCJapanの推計によると、2022年の用途別の国内VR関連市場の規模(PC本体、スマホ端末などは除外)は、コンシューマー向けゲーム(VRアミューズメント施設も含む)などVRゲームが約900億円(8.1億ドル、現状比33%増)、動画配信などビデオフューチャービューイングが約580億円(5.2億ドル、同1.3%減)、製造業などビジネスのトレーニング用途が約470億円(4.2億ドル、同14.4%増)となる見込みだ。

ただ、国内のVRヘッドセットの2018年の出荷台数予測は32万台程度。これまで何度か「VR元年」と言われ注目が高まるタイミングはあったものの、現状ではコンシューマー向け、ビジネス向けともにVR機器は普及がなかなか進んでいないのが実情だ。

あるVR業界の関係者は、「ハードの普及とVRコンテンツの増加は鶏と卵の関係。VRは利用者にとって新しい体験で普及に時間がかかっているが、先行投資を続ければ関連市場が一気に拡大するタイミングが必ずくる」と期待を寄せる。

VRアミューズメント施設の増加は、エンターテインメント分野でのVR市場拡大の起爆剤となるか。先端文化の発信拠点である渋谷に新しく誕生するVRアミューズメント施設の成否が、その試金石となりそうだ。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT