金融特化メディアの「ZUU」が狙っていること 冨田和成代表取締役ロングインタビュー

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しかし、最新のフィンテックを駆使したり、ロボットアドバイザーが投資対象やその配分を助言してくれたりする画期的なサービスであっても、新進の会社に対してはそこまで全幅の信頼を寄せられないものです。だから、金融機関にとってオペレーションにおける信用力は最後の砦であって、ディストリビューションの分野はどんどん切り離されていくべきものだと私は考えています。

近々、日本初の金融特化型DMPの展開を発表へ?

村上:「金融に特化したメディア」というイメージが御社に対する一般的な受け止め方だと思いますが、御社が手がけようとしていることは、より広い領域であるということでしょうか?

冨田:私たちは自社メディアを展開する一方で、B to Bで顧客企業のメディアプラットフォームの製作を支援しています。「成長可能性に関する説明資料」の中ではフィンテック化支援サービスと表現していますが、大手金融機関は自前の情報発信チャネル(オウンドメディア)を持つようになっており、その多くの製作・運営を当社がサポートしています。また、不動産投資関連やフィンテックを手がける非金融業界のメディアに関しても、当社が幅広く関わってきました。

その一方で、当社は自社メディアを通じて数多くのユーザーを獲得しています。それぞれのメディアのユーザーが相互に流入することで、アクセスの増加やデータの連携といった相乗効果が得られ、クライアント企業の潜在的な顧客開拓につながることが期待されます。

村上:そのうえでも自社メディアの充実が求められますが、配信するコンテンツはどのような手法によって製作しているのでしょうか?

冨田:自社メディアのコンテンツについては有料サービスなどを除き、7〜8割程度は無料で金融機関のプロや著者などが作成されたコンテンツが集まってくるという仕組みができあがっています。先日も発表した通り、当社における全プラットフォームの利用者は500万人を突破しており、自分のコンテンツを豊富に有しているのにそれらを発信する手段がないという金融の専門家などからどんどん寄せられてくるからです。

当社も数年前までは、Yahoo!ニュースやスマートニュースなどで取り上げられるとトラフィックが伸びやすいことから、自社で製作したコンテンツをライブ配信していました。しかし、高いトラフィックを保っていくためには、話題性のあるニュースを延々と発信し続けなければならず、自分たちの手法を再定義することにしました。

その際に参考になったのがクックパッドです。無料で投稿が集まるという仕組みが非常に高い収益性を生み出すことに気づきました。そこで、プロフェッショナルのコンテンツをいかに数多く集めるかに注力したわけです。獲得したコンテンツはいわゆるストック型で、ニュースと違って内容が陳腐化しにくく、どんどん蓄積していくことが可能です。

村上:ストック型のコンテンツがどんどん増えていく仕組みになってくれば、それに伴って多様なユーザーのデータが蓄積され、DMP(Data Management Platform=多様なデータを一元管理・分析して広告配信の最適化を行うプラットフォーム)という観点からも新たな収益をもたらしそうですね。

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