金融特化メディアの「ZUU」が狙っていること 冨田和成代表取締役ロングインタビュー

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銀行口座やクレジットカードなどの情報をオンライン上で一元管理して個人が効率的に資産設計を行えるPFM(パーソナルファイナンシャルマネジメント)サイトの草分けであるMint.comを筆頭に、新進のサービスが続々と登場していたのです。また、グーグルが金融比較サイトを買収するなど、ダイナミックな変化が起こる兆しを感じました。

金融機関はオペレーションのみに集約されるべき!?

村上:では、そういった背景の下で創業したZUUは、現時点ではどのようなビジネスを展開している会社で、将来的には“何屋さん”をめざしているのでしょうか?

冨田:まず、金融とITを活用することで、個々人が自分の人生や夢と正面から向き合い、加速をつけて前進していくことをサポートする会社でありたいというのが私たちの抱いている思いです。知識やスキル、人脈、健康、そしてお金を稼ぐ力や信用など、個人は「人的資本」を有しています。それを上手くコントロールしていくことで、資産を蓄えたり、有効活用したりできるわけです。

だから、個人も企業と同じように、自分自身のP/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)をきちんと管理できれば、その結果として今まで以上に夢の実現を果たせるはずです。当社はそのお手伝いをしたいと考えています。

村上:それを果たすために、どのようなビジネスモデルでどういったサービスを提供しているのでしょうか?

冨田:今なお金融のプラットフォームというものは、本質的な意味でインターネット上に存在していないと私は思っています。金融商品を売買できるプラットフォームにしても、証券や銀行などといった分野別に存在しているのでは不完全です。

たとえば手元に500万円のお金があった場合、それを銀行の定期預金に預けるのはもちろん、それで投資信託を買ったり、保険に加入したり、あるいはそれを担保に不動産を買ったりするのも、すべて資産活用です。さらに今の時代なら、それを元手に自動車を購入してカーシェアリングで貸し出すような運用まで選択肢に入ってきます。こうしたお金の使い道に対して、本来ならプラットフォームは中立的なスタンスであるべき。

ところが、銀行、証券、保険、不動産といった垣根が設けられているのが現実です。私が野村證券で超富裕層に提供していたコンサルティングサービスでは、必要に応じてそれらのすべてを提案していました。一般的な個人のお客様にも、そういった全般的なコンサルティングを提供することが本質だと私は考えています。

村上:そうしますと、ZUUは本質的な意味で完成された金融のプラットフォームを構築しようとしているわけですか?

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