「先輩のウザいおしゃべり」を止める正しい道 失礼な態度をとらずに黙らせるには?

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基本的に、おしゃべりな人というのは、総じて自分の話がしたいわけです。ですから、これを逆手にとって、「そういえば私もですね」「あ、私もこの間……」など、先ほどご紹介した「○○といえば……」方式で自分の話題をプラスすることにより、高確率で相手の口をふさぐことができるでしょう。

しかし、大人というものは、"1つのことしかできない"ようではいけません。「ちょっと、私は仕事に集中したいの。みんな黙って!」などと怒り出す人がたまにいますが、なんとも幼稚だと思いませんか? 多少の雑音に慣れるためには、カフェなどで仕事をするのもおすすめです。私は大学時代からずっとカフェで勉強をしてきましたから、多少の雑音で仕事が途切れるようなことはありません。

1つのことしかできないのが子ども、複数のことを並行して行えるのが大人です。つまり、少々のおしゃべりをしていても仕事を進めることができてこそ大人、という大きな度量も必要なわけです。「周りがうるさくて」「子どもがいたから」など、すべて言い訳です。みなさんは、どんな邪魔が入ろうと、自分のすべきことを淡々と行ってくださいね。

大人は言い訳をしない

言い換えると、自分が精神集中する状況を周りに求めないのが大人ということです。切羽詰まった人には、そもそも大人のイメージがないですよね。

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私の大学時代の友人には、いまや大企業の重要な役職についている人が多くいますが、彼らと会うたびに、その能力の高さ、大人の対応力に驚かされています。

なぜなら、酒を飲み歓談しているときに仕事の大切な連絡が入ったとしても、スマホで即座に返信。決して雑談の雰囲気を壊しません。また、こちらが想像できないほど仕事が忙しいはずにもかかわらず、プライベートな飲み会の日付や場所決めなどもスムーズに行いますし、それ自体を笑顔で楽しんでいるのです。

彼らの段取りのよさや、余裕のある雰囲気には感服します。まさに、これぞ大人!というイメージでしょうか。

ちなみに、あのアインシュタインは、乳母車を揺らしながら仕事のメモをとっていたといいます。そう考えますと、先輩の雑談程度には、少々つき合ってみてもよろしいのではないでしょうか(笑)。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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