「つながる家電」化は白モノ家電を救うのか 加速する家電のIoT化、その可能性と限界
エアコンのネット接続が広まらないのは、そのメリットを感じにくいことも大きい。
一般に、つながるエアコンのメリットとして、外出時にもスマホを使って遠隔操作できたり、エアコンの使用状況を見える化(省エネ提案)が挙げられる。天気予報と連動した最適運転やAIスピーカーを介した音声操作を打ち出すメーカーもある。
見えにくいメリット
遠隔操作ができれば、今年のような猛暑のシーズンは、帰宅前に部屋を涼しくしておける。しかし、タイマーや終日運転でもある程度は対応可能で、アダプターを付けてまでつなげてもらうには力不足だ。
ダイキン空調営業本部・事業戦略室の萩原良彦企画担当部長は「(ネットに)つながることのユーザーのニーズはまだ見えてこない」と正直に認める。「つながることが当たり前になれば、あれもしたい、これもしたいというニーズが出てくるのではないか」と、つながる機能の標準搭載の狙いを説明する。
加えて、「データの活用がメーカーにとっての生命線になるとの危機感がある。グーグルやアマゾンがそこ(データ)を牛耳ってしまえば、われわれがただの箱になる」(萩原氏)という危機感もある。
メーカーからみると、エアコンがネットに接続されれば、ユーザーの利用データを入手できる。それを生かせば、新たなビジネスチャンスになる。
ダイキンの船田聡常務執行役員は「(つながるエアコンなら)エアコンが壊れそう(なタイミング)といったこともわかる」と話す。エアコンの修理依頼は、シーズンピークの夏場に集中する。事前に故障の可能性を検知できれば、修理のニーズを平準化できる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら