アメリカ経済の経済指標は足元まで総じて好調であり、2018年通年で想定できる1株当たり利益の伸びは20%前後となっている。10月の急落によってS&P500などの年初来リターンは3%前後まで一時下落した。この株価水準が2018年の利益拡大をほとんど反映せず、2019年の減益が株式市場で意識されているとすれば、投資妙味は大きいと思われる。
なお、2018年初来の株価パフォーマンスでみて、アメリカ株に劣っていた日本株は、アメリカ株の急落とともに10月10~15日まで約5%下落した。アメリカ株同様の落ち込みであり、2018年に入って冴えない値動きが続いている日本株市場は、アメリカ株に依存する状況が続いていると言える。
緊縮財政に転じる日本、財政拡張を続けるアメリカ
また日本の経済政治情勢に目を転じると、自由民主党総裁選挙の勝利を経て、安倍晋三政権があと3年続く道筋が見えるなかで、政治リスクは大きく低下した。だが日本の国内要因をみわたすと、日本株市場への期待が高まるシナリオは依然として想定しがたい。
その安倍政権は、10月15日に2019年10月の消費増税について正式表明した。3%の税率アップとなった2014年のように個人消費が約1%もの大幅な落ち込みとなることはないだろう。それでも、6月4日に掲載した「『消費税10%』に日本経済は耐えられない懸念」でも指摘したが、教育無償化などの一部家計への所得補填があっても、家計の可処分所得の1%相当の増税負担となる可能性が高く、再び個人消費に大きなブレーキがかかるとみられる。
「増税影響緩和策」の予算規模はまだ判明していないため、現時点での増税後の日本経済を予想するのは難しい。だが2%インフレ実現に距離があるなかで、増税によって再び緊縮財政政策に転じることは、日本経済・株式市場にネガティブに作用する可能性が高い。日本株市場に対して多くの投資家の期待が高まるシナリオは、引き続き想定しがたいだろう。
一方でアメリカについては中間選挙の結果にもよるが、2019年にかけて歳出のさらなる拡大、減税政策が見込まれている。アメリカと日本の対照的な財政政策が、今後も日米両国間の株価パフォーマンス格差として影響し続ける可能性がある。
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