社内調整がヘタな人とうまい人の決定的な差 関係者の利害を事前に把握し反応を想定せよ

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たとえば、商品開発における商品企画部門と商品開発部門の考え、意見は全体的には顧客に選ばれる商品を品質良く完成する、売れる商品、使ってもらえる商品を一致団結して開発するという双方の共通利益として合致します。

ところが、細部では非常に対立しやすいという性質を持っています。商品企画部門は使いやすい商品機能を短い期間で開発して市場投入してほしいと主張し、商品開発部門側は企画部門の要望をすべて聞いていられないし、短い期間では無理である、と利益が対立する構造になります。

社内調整の3ステップ

では、この自然発生的なコンフリクトを解消するにはどうすればいいのでしょうか?

そもそも利害対立が発生しないように最初から利害調整しておけばいいのです。答えは簡単ですが、実践するのは容易ではありません。

各部門の立場の違いによる自然発生した利害対立を調整し、利害衝突を乗り越えて関係者全体の共通利益を最適化しなければなりません。

私が会社でやっていて、15年以上部下に教えている社内調整のステップを紹介します。

ステップ1 関係者の利害の把握
ステップ2 利害分析
ステップ3 利害調整

◎ステップ1 関係者の利害の把握

社内調整とは、社内の利害の調整ですから、最初に利害関係者は誰か、その利害はどういうものかを知る必要があります。利害は、時間の進行や状況の変化によって変わっていくため、つねに最新の利害情報を得ること、先読みをして将来の利害を予想することが重要です。

◎ステップ2 利害分析

ステップ1で把握した利害状況をもっと詳細にリサーチしていきます。情報収集した関係者の利害を整理し、それぞれどのように処置すればよいかを考えます。

基本は、具体的に「誰が、なぜ(理由)、そう言っているのか」を関係者全体に広げて詳細に考えることです。分析には情報が必要ですが、直接関係者本人に聞いたり、利害関係者の部下や上司といった利害関係に近い人を通して間接的に聞いたりするなどの方法を使います。

利害が絡むと、本人やそれに近い人は本音を言わない可能性があります。そこで、利害がない社内の第三者をあたり、過去の本人の行動などを聞いて、現時点の利害状況を推測します。

◎ステップ3 利害調整

利害調整とは、対立してしまった者同士の利害を調整したり、そもそも対立が予想される利害をあらかじめ想定し、事前に解消するように動いたりすることです。ここで重要なのは、自分の利害を全面に出すと調整はうまくいかないということです。

利害対立が発生して硬直する理由は、自分のニーズ(メリット)だけを主張し、相手のニーズを考慮しないことです。これを避けるために、自分のニーズで妥協できるところは、欲張らずに低いものに下げていく(自分で進んで行う前向きの妥協)ことです。

この結果、利害対象者のニーズが満足できるレベルになれば、利害対立は解消します。おおまかな流れは以上のようなものになります。

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