社内調整がヘタな人とうまい人の決定的な差 関係者の利害を事前に把握し反応を想定せよ

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会議の後、前田課長補佐は平静を取り戻し、製造部門と対立したものの、彼らが協力してくれないことには前に進まないので、製造方法を見直し、製造部門に負担のかからないように企画案を修正しました。この修正案を、再度関係者に説明しましたが、製造部門が首を縦に振ることはありませんでした。感情的なしこりから、その後も最後まで製造部門は前田課長補佐と対立したままでした。

その結果、前田課長補佐の企画は社内で多くの人から「製造部門が強く反対しているので実現は困難」とみなされ、最後には正式に廃案になってしまいました。

失敗の原因は「社内調整不足」

その後、前田課長補佐が新しい企画を通そうとしても、真剣に協力しようとする部門はありませんでした。

「協力しても、どうせうまくいかないだろう……」

社内の人からそう思われてしまったのです。

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このようなことは、多くの会社でよく発生している失敗事例だと思います。前田課長補佐の影響力は著しく低下しました。

前田課長補佐の失敗の原因は何でしょうか。それはまさに、「社内調整不足」です。

前田課長補佐は、「新しい企画を自分で考える」ということだけでなく、その企画が「他の部門などの利害関係者にどのような影響を与えるか」「利害関係者はどう反応するか」を先読みし、ネガティブチェックをして、必要な対応を含めて仕事の進め方を考える必要がありました。その一連の作業こそが、社内調整です。

仕事には、利害対立がつきものです。ですから、社内調整は絶対必要で、面倒がらずに行うべきです。社内調整は非合理的作業ではありません。仕事を成功に導くプロセスの一環として必要なきわめて合理的な作業なのです。

芦屋 広太 マネジメント・コンサルタント

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あしや こうた / Kota Ashiya

財閥系金融機関の情報技術部門と販売企画部門を兼務する部長。マネジメント・コンサルタント、IT分野における国家試験対策の論文指導などコミュニケーション、マネジメント、思考力を指導する教育コンサルタント、コーチとしても活躍。教育・教材の企画開発、研修、講演、コンサルティングを手掛ける。雑誌記事やネット記事は400以上。

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