死亡事故が起こりにくい保育園の「見極め方」 質の高い保育を行う園は何をしているのか

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4、5歳児くらいになると、一つのテーマで何日も遊びを発展させるような活動も生まれてくる。

ある園では、散歩でとってきた草花への関心から、絵本で読んだアイデアから、香水作りを始める。すると園児たちは、その草花の香水は日にちが経つと腐ってしまうことに気づいた。なぜ売っている香水は腐らないのに、草花の香水は腐るのかという問いが生まれ、みんなで話し合う。

そして、街の香水を売っている店に聞きに行ったところ、本物の香水にはアルコールが入っているから腐らないのだと知り、自分たちもアルコールで香水を作ってみようと工夫が続いていく。これは、実際に数カ月続いた事例である。

こうした子どもたちの興味・関心から共通のテーマが生まれ、子ども同士が協力しながら主体的に進める活動は、「"協同的な学び" が生まれる遊び」とも呼ばれる。これは、小学校以降の主体的な学びにつながる「アクティブ・ラーニング」でもある。つまり、遊びは、子ども主体の、対話的な、学びなのである。

さらに言えば、保育士の仕事は、ただ子どもを預かるだけではなく、子どもを主体的な学び手に育てるために、とても大切な役割を担っているのである。

保育の質を高めるために

ここまで述べてきたような、手厚い保育が保障されている園では、保育士が子どもを丁寧に見られるような関係性や環境が保障されているので、大きな事故は起こりにくいと考えられる。

しかし、これまで日本では、待機児童解消のための保育施設の量的拡大に大きな労力を割かなければならなかった。そのため、保育の質のことは後回しにせざるをえなかったのだろう。多くの先進国が保育の質のために投資してきたことに比較して、日本は大きく遅れてきたことは否めない。保育の質向上は、国家的な課題である。

今、わが国も保育の質向上へと動き始めている。たとえば、厚生労働省では、筆者も構成員を務める「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」がスタートした。

その中間的な論点の整理では、「子どもを中心に考えることが最も基本」であり、保育の質の「充実に向けた取り組みが日常的に行われていることが重要」であり、家庭や地域、自治体との連携・協働が必要だとの視点が示されている。

ここから、保育の質向上に向け、保育施設のみならず、国や自治体、家庭や地域までも巻き込んだ大きなムーブメントになることを期待している。

大豆生田 啓友 玉川大学教育学部教授

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おおまめうだ ひろとも / Hirotomo Omameuda

日本保育学会副会長。専門は、保育学、乳幼児教育学。青山学院幼稚園教諭を経て、現在は、保育所・幼稚園・認定こども園等の保育実践の質的研究および、子育て支援研究を行っている。NHK・Eテレ『すくすく子育て』のコメンテーターとして出演。『あそびから学びが生まれる動的環境デザイン』(編著、学研みらい、2018年)、『3法令から読み解く乳幼児の教育・保育の未来-現場で活かすヒント』(共編著、中央法規、2018年)、『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』(編著、フレーベル館、2017年)など著書多数。

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