死亡事故が起こりにくい保育園の「見極め方」 質の高い保育を行う園は何をしているのか
保育の質が高い園では、子どもを第一に考えようとするので、子どもが選び取れるように多様なオモチャを保育室に用意するなど、環境を整えている。しかし、質の高い保育は、しっかりした体制が保障されないと実践するのが難しい。
たとえば、ある程度余裕のある人的体制、一人の保育士がかかわる子どもの人数の少なさ、ある程度スペースに余裕のある保育室、保育士が子どもと離れられる時間(ノンコンタクトタイム)、職員同士が円滑に機能するための園長など管理者のリーダーシップ、研修のための時間等々、挙げればきりがない。
こうした手厚い保育(プロセスの質)を保障するために必要なのが、「実施運営の質」や「構造の質」である。
「実施運営の質」は、日々の記録や計画、評価、研修の充実など、園の質向上のためのチーム形成を行う体制である。そこには、園長や主任など、現場の保育士を引っ張るリーダーシップも重要になる。「構造の質」は、園舎や園庭、遊具や素材などの物的環境および、保育士と子どもの人数比、クラスサイズや労働環境などの人的環境である。
要するに、手厚い保育を保障するためには、毎日、記録をとって省察し、翌日の計画をデザインし、研修が充実し、物的・人的環境の充実が不可欠なのである。
「非認知能力」の育成が重要
現在の保育園は、幼稚園と同様の「幼児教育」機能があると位置づけられている。最低限の質ではなく、より高い質が求められている。そこで大切になるのが「非認知能力」である。
非認知能力とは、意欲や意志力、自尊感情、粘り強さ、自己抑制、思いやりなど、社会情動的な能力である。端的に言えば、学力やIQなど目に見える形では測れない、目に見えない能力だ。非認知能力を育てると、小学校以降の「あと伸びする力」にもつながってくるといわれている。
また、非認知能力を育てるためには、子どもを主体とした遊びの充実が不可欠となる。「遊び」というと、「ただ、遊んでいるだけ」と思われるかもしれないが、そうではない。
ここで言う「遊び」とは、単に「遊ばせておく」ことではなく、子どもが夢中になって「遊び込む」ことである。そのため、遊びが豊かな学びになるような多様な環境を構成することが不可欠になる。
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