発達障害46歳男性が「売春」に手を染めた事情 「いつか結婚したいから自己破産はしない」

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専門学校講師、小学校教諭、不動産会社の営業――。最初はいわゆるデスクワークが多かった。しかし、年齢が高くなるにつれ、宅配便ドライバーやコンビニエンスストアのアルバイト、工場派遣など「体力勝負の力仕事が増えていった」。収入もダウンする一方。

いずれの職場でも人間関係がうまくいかず、うつ症状が表れ、辞める――。そんなことの繰り返しだった。「叱責され、罵倒されながら辞める。そのたびに、自分はなんてダメな人間なんだと落ち込む。自己肯定感なんて、ゼロです」とアユムさん。

「もう限界です」と叫んで職場を飛び出した

小学校教諭をしていたときは、子どもたちの名前を覚えることができなかった。同僚教師から子どもたちの前で「何やってんだ」「ダメじゃないの」と怒鳴られた。ある日突然、「もう限界です」と叫んで職場を飛び出し、それっきり出勤できなくなったという。

障害者手帳を持っており、障害者雇用枠で採用されたこともある。しかし、そこでは単純作業しか任されなかったうえ、会社は助成金目当てで自分を雇っていたと、アユムさんは訴える。

「(人事担当の)上司が『(障害者を)あと2、3匹雇えるな』と話しているのを聞きました。牛豚扱いです。(助成対象の)期限が切れると、居づらくされて辞めました」

現在は無職。障害年金の支給を受けているが、今年4月、障害の状態に変化はないのに、等級が1級から2級へと下げられ、毎月の支給額が2万円近くダウンした。以来、月6万5000円ほどの障害年金が唯一の収入である。一方で、複数の金融機関のカードローンによる借金が600万円ほどあるという。奨学金の取り立てが厳しく、督促されるまま、カードローンを利用して返済に充てたためだ。

「(当時勤めていた)会社にも取り立ての電話がかかってきて、『あなたのせいで後輩はみんな迷惑してるんですよ』『後輩たちの将来を邪魔するのか』と責められました。奨学金の額ですか? さあ……。正確にはわかりません」

そして「(600万円の)借金の中には生活費として使った分もあります。ATMから引き出せるお金があると、下ろしてしまうんです」と話す。処方薬を大量に摂取し、毎月のように自殺未遂を繰り返した時期もあったという。オーバードーズ(薬物過剰摂取)状態で、警察官に絡み、逮捕されたこともある。

また、自らの性的指向を「ゲイよりのバイセクシャル」だという。現在の恋人は男性である。

金に困り、男性が男性客相手に売春する「売り専」や、医療保険を利用した保険金詐欺に手を染めたこともあると、打ち明ける。

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