ところが、日本の学校では教育におけるネット活用が全然進んでいない。その主たる要因の1つとして、旧態依然とした日本の教育制度や社会全体の意識がある。
スマートフォンが今のように普及していなかった約10年前、OECD(経済協力開発機構)は「21世紀スキル」を提唱した。その後、教育先進国で21世紀スキルの実装が着々と進む中、OECDは新たに、22世紀に向かうプロセスとして「Education 2030」を公表した。片や日本は、いまだ21世紀スキルの教育にすら全学校が移行できていない。21世紀がもう5分の1終わろうかとしているのに、だ。
「Education 2030」には新しい価値を創造する力や新しい社会モデルの中で他者と協力するスキルのほかに、適応性、創造性など、さまざまなスキルが掲げられている。
中でも興味深いのは、「責任をとる力」「自らの行動の将来の結末を考慮する力」「自分の仕事の成果について責任をもって説明できる力」「自ら評価できる力」などである。これらの中には問題解決能力や適応能力なども含まれる。
日本の教育現場はお寒い状況
「Education 2030」では予測不能な時代を見据え、「生きる力」から「生き延びる力」へと学びの概念を変化させ、21世紀スキルにない新しいスキルをラーニング・フレームワークの中に置いている。
これには温暖化をはじめ、地球レベルの問題が噴出するであろう2030年以降から22世紀に向け、子どもたちが地球レベルの視点で思考できるようにする意味合いもある。
筆者がニュージーランドの小学校に視察に行ったとき、授業中に子どもから声をかけられた。「今、日本で地震があったみたい」と。つねにネットにつないで情報にアクセスするという小学生のネットの使い方に驚いた。ネットの翻訳機能を使えば日本語も読めるのだという。
このように、世界の教育や教育のコンセプトが進化を遂げている。だが、残念ながら日本の教育現場はお寒い状況である。
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