AIが福祉改革、目の前に山積する課題と奮闘 ケアマネジャーの負担を軽減していくこと

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「私たちがデータを集めるときは、紙の書類やチラシなどを大量に手打ちで入れていくこともしばしば。福祉業界はFAXなども使われておりますし、紙での情報管理がなされている事もあります。AIに学習させるためのデータ準備にとても苦労しています。

ケアマネジャーに必要な専門知識は多岐にわたるため、データを集めるだけでもかなり大変です。さらにデータのフォーマットも統一されていませんし、ケアプランの記述方法も標準化されていません。表記揺れなども多くあるため、作業は単純とは言い難く、AIの精度を上げるために泥臭い作業が必要になっています」(菅さん)

これまでデータ活用とは無縁な福祉業界において、広範な知識を統合するための手間と苦労は計り知れません。

福祉業界でAI活用に取り組むことは、並大抵の情熱では成し得ないことだと思います。ウェルモの並々ならぬ情熱を感じます。

ケアマネジャーが正当に評価される福祉業界をAIで実現

――福祉業界に対するAIのアプローチで、どのような未来を描かれているのでしょう?

「私たちは日本の福祉をもっと良くしていきたいです。日本の福祉サービスは、利用する本人が意思決定できるような構造ではないんですね。属人的でアナログな意思決定行程が起因して、利用者本人が意思決定に関与しづらい。今後は利用者本位を実現することが目標です。

加えて、世の中ではケアマネジャーなどの仕事が正当に評価されていないのが現状です。福祉に携わる人々が正当に評価される社会を作っていきたいですね。

AIを開発する人は、こういった日本が抱える社会問題解決に取り組む方向にもっと動いて欲しいです」(鹿野さん)

福祉は必ず私たち自身、もしくは私たちの周りの人が関係してくる、無関心ではいられない領域です。

日本社会でAIが今果たすべき本当の役割は、生活や生命に関わるような重大な事案に対応すること。社内の作業効率化やPR目的のAI活用などもありますが、そこに偏りすぎずもっと大きなスコープで捉えられる問題のためのAI活用が重要なのかもしれません。

日本の社会問題を本気で解決しようと取り組まれているお二人、貴重なお話ありがとうございました。

(取材・文:田村宣太)

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