AIが福祉改革、目の前に山積する課題と奮闘 ケアマネジャーの負担を軽減していくこと
ケアマネジャー業務の複雑さと知識格差による弊害
――さまざまな課題を抱える福祉業界において重要な役割を持つケアマネジャーとは、どういった職業なのでしょう? また、AIで解決されるべき課題とはなんでしょうか?
「生活でサポートが必要な方たちに、どのような福祉サービスが必要なのかをケアマネジャーが主体となって意思決定を行います。利用者の病状や体の状況に合わせた、最適なケアプランを幾千の選択肢から選んでいくことが主な業務です。
ケアマネジャーになるためには医者や看護師、介護福祉士などの資格を持った人たちが、プラスαで資格を取る必要があることに加え、医療関係の資格を持ってケアマネジャーになる人、介護福祉関係の資格からケアマネジャーになる人とでは、それぞれの専門知識はあるものの、ケアマネジャーとしては知識量がてんでバラバラ。
それにも関わらず求められる知識は幅広く、ケアプラン作成時の知識不足によって大きな事故に繋がるケースもあります」(鹿野さん)
介護保険法は複雑なうえ、施設区分に至っては25種類53サービスと細分化していて、サービスを利用者一人一人に合わせて選ぶことは容易ではありません。
また利用者自身の情報など諸々がケアプラン作成時に関わってくるので、情報も定量的に測れるものではないのが現状です。
ケアマネジャーには利用者一人一人の状況に合わせた複合的なサポート体制が求められ、それに対応するためにはオーバーワークに繋がるという……。しかも利用者一人一人に対するケアマネジャーの責任は大きいです。