マスコミは試験があり、少数採用のため、難関大からの就職者が多くなる。ただし、入社難易度の変動も大きい。新聞社では日本経済新聞社が5位で62.8で、昨年と変わらず新聞社でトップ。次が23位の朝日新聞社、36位の読売新聞社の順だ。
出版では3大出版社の1つで、昨年トップの集英社が11位に後退、講談社も3位から13位に後退した。一方で小学館は38位から22位にアップしている。目立ったのはKADOKAWAのランクアップである。昨年の79位から12位にアップした。ドワンゴと経営統合したことで、コンテンツビジネスの展開に期待が高まっているようだ。
メーカーや銀行の入社難易度はそれほど高くない
テレビ局では日本テレビ放送網が昨年の28位から10位とトップ10入りしている。TBSテレビが15位で、テレビ朝日は昨年の19位からダウンして34位となった。NHKは48位となっている。ワークス・ジャパンの清水社長は「就活が本格化する年明けすぐに、箱根駅伝を朝からずっと生中継している日本テレビに対し、テレビ局を目指す学生にも響くのでしょう」と分析する。
かつては大学入試の出願直前ということもあって、箱根駅伝は志願者集めに有効との評価もあったが、今はそれほどでもない。1月1日の午後から、受験生は受験勉強モードになるからだ。
一方、学生の人気に陰りがみられる銀行の入社難易度は、それほど高くない。トップの三井住友信託銀行が59.3で74位、日本銀行が昨年の153位からアップしたといっても81位だ。メガバンクでは三菱UFJ銀行が165位。まだまだ一般職を多く採用しており、多様な大学から人材を集めていることが影響していると思われる。
総じて入社難易度が高くならないのがメーカーである。駿台教育研究所の石原部長は「地方の国公立大工学部からの採用が多いからかもしれません。地方国公立大の工学部は入りやすく、難易度が高くないからです」と言う。今年、最も順位を上げたのが、メーカーの古河機械金属だ。昨年の341位から177位にアップした。「古河気合筋肉」と社名をもじった採用広報が成功し、難易度が高い大学から学生を集めることができたようだ。
業種別の入社難易度も見てみよう。4社以上の業種だけを取り上げているため、ランキングには出てこないところもある。
トップは昨年の4位から上昇した広告だ。17位の電通がトップだが、20位に博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ、86位にアサツーディ・ケイが入っている。
2位以下は放送、石油・鉱業、商社の順で、ここまでが入社難易度60超。その次に新聞、出版、化学、通信と続く。416社の平均入社難易度55.4とかなり高い。平均難易度が55.4を上回る大学は、防衛大学校や気象大学校を除くと、47校に過ぎない。有名企業の採用は、上位大学の寡占状態であることは間違いないようだ。
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