算出方法は次の通りだ。今年の各大学・学部の難易度について、医学部と歯学部を除いて平均した値を各大学の難易度とする。仮に、A社の就職者が東京大学5人、慶應義塾大学3人、上智大学3人だったとする。東京大学の学部平均難易度は67.8で、全大学で最も高い値だ。慶應義塾大学は65.5、上智大学は61.7になる。
ではA社の平均入社難易度を求めてみよう。(東京大学67.8×5人+慶應義塾大学65.5×3人+上智大学61.7×3人)÷(5人+3人+3人)=65.509≒65.5になる。この値をA社の「入社難易度」としている。
就職判明者が10人以上の企業に絞り、ランキングにしたのが、「入社が難しい有名企業ランキング」だ。もちろん採用者すべての出身大学が判明しているわけではない。しかし、企業の採用総数が分かっている企業に占める、大学別就職者の判明率は85%に上る。同率で順位が異なるのは小数点第2位以下の差による。
では企業別の表を見ていこう。トップは三菱商事の63.8だ。昨年の5位からトップに躍り出た。大学別就職者数を見ると、一番多いのが慶應義塾大学の39人、次が早稲田大学27人、以下、東京大学24人、京都大学13人、一橋大学9人と続く。この5大学で採用総数の6割以上を占める。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は「難易度が63.8というのは、大学入試でいうと早稲田大学の商学部くらいの難しさになるのでしょう」と語る。
三菱商事・三井物産・伊藤忠がトップ5内
2位は三井物産の63.2で、昨年の16位から躍進。4位が伊藤忠商事の62.9となった。総合商社の強さが際立つ。
5大商社の内、3社がトップ5に入っているが、住友商事が6位、丸紅が7位と、すべてトップ10に入った。企業の採用支援を行っているワークス・ジャパンの清水信一郎社長は「難関大学の学生に総合商社は人気で、就活の軸にしようとの考えがあります。商社のインターンシップが面白いことも要因でしょう。ただ、双日は51位、豊田通商は61位で、5大商社との差が大きくなっています」と言う。
人気の商社と言っても、高校時代には周りに勤めている大人がいない限り、どのような仕事をするかはわからなかっただろう。大学入学後、先輩や卒業生をインターンシップで知ることになり、就活では人気の的になっている。学生の人気企業ランキングでも総合商社はつねに上位だ。
3位は不動産の三菱地所だ。他の不動産の会社も上位に進出しており、三井不動産14位、東京建物16位、東急不動産29位で、入社難易度は高い。採用人数が少ないうえに、難関大学からの採用が多いと、このような高い入社難易度になると見られる。難関大学の学生の中には、大量採用の企業よりも、同期の顔が見える採用の少ない企業を好む傾向もあるという。不動産業界では住宅やマンション販売中心のところもあるが、やはりデベロッパー企業の人気が高い。
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