あるTV番組で興味深いコメントを耳にしました。声の主は、原巨人を支える主砲ラミレス。彼は遠征先のホテルにパソコンを持ち込み、何やら研究中。その研究対象こそが私の興味をひいたのです。通常、バッターは投手の研究をします。バッターのタイプによって攻め方や癖があるからで、メジャーリーグでも、研究の対象はほぼピッチャー。それはなぜか? ゲームを支配している割合がいちばん高いのがピッチャーだからです。しかしラミレスは、メジャーリーグと違って日本の野球は、キャッチャーが支配していると言います。ゆえに対ピッチャーではなく、対キャッチャーの研究をするようになってから安定した成績を出せるようになったのだと。私はなんでもゴルフにつなげる習慣があり、そのコメントこそが“(コースで)うまくプレーできない"ゴルファーを救う手だてになるのでは、と直観的にひらめいたのです!!
ゴルファーのほとんどは、その貴重な練習時間をスイング作りに費やしています。特に今の日本人ゴルファーは、この傾向が強い。これは以前にも指摘しましたが、コースでうまくプレーするための練習ではなく、いつしか、いいスイングを身に付けるのが第一の目的となっているからです。
しかしながら、いいスイングをさせてくれる場面がほとんどないのが、コースでのプレー。野球にたとえれば、ブルペンではいい球投げるけど、バッターがいると、からっきしダメなタイプ。そう!! 多くのゴルファーは“ブルペンゴルファー"に陥っているのです。今回私が伝えたいのは、「ゴルフコースの要求に合わせたプレーや発想が大切」ということ。研究の対象を“スイング"から“コースマネジメント"へ移行しよう!
私のコースレッスンでは、「あっ! 今のはクラブが外から入ったからフックしました」などというコメントはしません。なぜなら、スイングに起こった現象の指摘だけでは、根本的な解決にはならないからです。理屈や数字が頭に入ると左脳が優位に立ち、体の動きがぎこちなくなるのです。「このロケーションでは低いスライスをイメージして」「ここはフックしてもいいと思いながら打ってみて」など、状況に応じた球筋のイメージは、ハンディキャップの多い少ないに関係なく必要で、そう思うことでナイスショットの確率は天地の差ほど変わります。あとは球の出だしをどこにするか? そこに目線とクラブフェースを合わせると100を切れるかどうかのゴルファーでも、軽いダウンヒルをスプーンでナイスショットできるのです。
コースの攻め方は多岐にわたりますが、基本的な考えは“広いほうから曲げる"。ということは、普段の練習で何をすべきか? 「右に曲がるボールを打つ・左に曲がるボールを打つ」。言い方を変えれば「絶対左に行かないボール・絶対右に行かないボール」を練習すべきなのです。
1965年千葉県生まれ。プロゴルファー&フィジカルトレーナー。けんこう寺子屋ゴルフスクール主宰。選手時代のケガの経験からプロトレーナーに。中嶋常幸プロの復活に貢献、高い評価を受ける。一方、若手育成やアマチュアのレッスンにも力を注いでいる。
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