寝不足時の運転があまりにヤバい科学的根拠 最悪の場合、逮捕される可能性も

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ひとつ目の徹夜試験の結果、起床した直後からパフォーマンスは上がり続け、12時間後の夕方過ぎまでは高い状態を維持しました。意外に思うかもしれませんが、夜8時頃でも、パフォーマンスはまだ下がらなかったのです。ところが12時間を過ぎた頃から直線的にみるみる下がり始め、起床から17時間を超えると、オーストラリアの飲酒運転の基準である血中アルコール濃度0.05%かそれ以上の酩酊レベルまでどんと落ち込んでいます。

この時間帯から体内時計が夜(休息)の時間帯に入り、神経活動が低下して覚醒力が落ちるため、一気に覚醒中にたまった疲労や眠気が顕在化するためです。つまり、7時に起床したとすれば、17時間後の夜の0時以降には、「酔っ払いレベル」になるということです。

日本では、酒気帯び運転の基準はもっと厳しく、血中アルコール濃度0.03%以上で反則点数が13点、0.05%で25点です。別の研究では、血中アルコール濃度が0.02%程度では反応時間や追跡能力が低下し、0.03%ではハンドル操作が稚拙になり、0.04%では視線の固定までが困難になると報告されています。

寝なければパフォーマンスは絶対に落ちる

怖いのは、酒を飲んでいなくても、起床から十数時間もすれば誰でも同様の異変が起こることです。

『かつてないほど頭が冴える! 睡眠と覚醒 最強の習慣』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

体内時計が覚醒から睡眠に移行するため、誰でもパフォーマンスが底まで落ちて、ハンドル操作さえ危うくなるほどの酩酊状態になってしまうのです。

夜間の道路は、いつ車が突っ込んできてもおかしくない状態にあるということで、想像するとぞっとしておちおち道も歩けなくなります。現代は夜勤に関わる人も多く、寝起きの時間もさまざまですから、朝昼晩、24時間ずっと気を抜けません。

ちなみに睡眠とパフォーマンスの低下の関係については、他にも興味深い研究報告があり、4時間睡眠を6日続けるとパフォーマンスは徹夜レベルまで落ちることもわかっています。

三島 和夫 秋田大学医学部教授

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みしま かずお / Kazuo Mishima

1963年、秋田県生まれ。秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座教授。医学博士。1987年、秋田大学医学部医学科を卒業後、同大精神科学講座講師、同助教授、アメリカ・スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事、日本生物学的精神医学会評議員。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者を歴任。

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