プロ野球観戦「有料LV」にファンが集まるワケ ライブビューイングが球団の新しい収益源に

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平日の3連戦だったこともあり、盛況とは言えない入りだったが、ビジターゲームでのLVは球場の稼働率向上につながる。

球団側は、今シーズンに実施した一連のLVについて、同球団が展開している「横浜スポーツタウン構想」の一環と位置づけている。映画館での上映というアイデアも、街中でLVを実施できる会場はどこかという発想から辿りついている。

だが、それが同時に機会損失の解消に繋がるという側面は見逃せない。球団が球場という限られたキャパを使って収益を上げているかぎり、ゲーム開催日の稼働率が上限に近づけば収益の伸びは止まる。

球団の2大収入はチケット収入とスポンサー収入であり、球団ごとに多少の差はあるとはいえ、この2大収入が収入全体の7割を占める。そのチケット収入をさらに伸ばすことができるとしたら、その意味は大きい。チケット収入が伸びるということは、人が集まる機会が増えるということだから、広告、グッズ、飲食など他の収入の呼び水になる。

なぜ、生で見られないライブビューイングが人気なのか

球団経営会社は利益の追求を第一義にしているわけではないが、収入を増やせば「できること」が増える。球場の居住性を上げる投資や、選手の練習環境改善への投資もできるし、貢献に年俸で報いることもより可能になる。

テレビ中継を見れば済み、生のプレーを目の前で見られるわけでもないのに、ファンがパブリックビューイング会場に集まるのは、同じチームを応援する見ず知らずの“仲間”とともに盛り上がりたいからだ。

その意味で、ビジターLVは新たな集客機会の創造という点で画期的と言える。今後チケット価格の設定や開催方法が磨かれていけば、球団と球場が一体化している他の球団にとっても参考になるはずだ。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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