そして、ある週末に晃の家に晴海を招待したら、翌週には、彼女が自分の家に呼んでくれたのだという。
9月の3連休を利用して、2泊3日で伊豆へ旅行に行った。
「国内旅行だし、僕はある程度行くところの目星をつけて、計画通りにいかなければ、それもよし。旅館に戻って、温泉に入ってゆっくりしたかった。ところが彼女は、着いたらまずは何時にどこでうなぎを食べて、有名なコロッケを食べて、自然公園に行って、美術館に行って……と、こんな調子で3日間のスケジュールがびっしり決まっていたんです。なんだか疲れてしまいました」
彼女の決めたことに「もっとユル~く行こうよ」と言ったら、そこからケンカになってしまった。
そして、旅行から帰ってきてからは、ささいなことでも言い争うようになった。
「最近彼女が、『やっぱり私たちは、結婚してもうまくいかないかも』と言いだしたんです。彼女は、結婚相談所に入って、2年間お見合いをしてきて、ここまで真剣に結婚を考えられたのは、僕だけだったと言うんですね。で、もしこれがダメになったら、『もう婚活はやめて、これからは1人で生きていく』と」
そう言われてしまうと、無責任にこの関係を放り出すこともできず、踏みとどまる自分もいた。
「ただ、僕は一度結婚に失敗をしているから、勢いで次の結婚をしたくない。これは、失敗して学んだんですけど、結婚ってこれまで違った人生を送ってきた人が1つ屋根の下で暮らすこと。それまでのライフスタイルや理想を相手に押し付けていたら、うまくいかないんですよ。違う考え方を認め合って、受け入れていかないと」
「価値観が自分とは違う」と判断してしまう
晃が言うことは、もっともだ。今、30代後半、40代、50代の婚活初婚者が相談所には多いのだが、お見合いは繰り返すものの、なかなか成婚しない。
理由の1つは、先に述べた“婚活の腰が重く、交際に入っても行動を起こさない”こと。もう1つは、晃の言う“自分のライフスタイルや理想を相手に押し付け”、そこで“この相手と自分は価値観が違う”と判断をし、交際を終了させてしまうことだ。
会員たちを見ていると、20代は活動を始めてから瞬く間に相手を見つけ、成婚退会をしていく。それは選択肢が多いというのもあるが、考え方が柔軟で、まだ自分の確固たるライフスタイルが出来上がっていないので、相手を受け入れる許容範囲が広いからだ。
ところが、年を重ねれば重ねただけ、積み上げてきた経験や得てきた知識によって、自分の理想やライフスタイルを確立させてしまう。そして、かたくなにそれを曲げようとしない。
晃と晴美は、どこまでお互いが歩み寄れるのか。見守ろうかと思っていた矢先、2人で話し合い、“交際終了”となってしまった。
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