会社内差別を生む「無意識バイアス」の正体 脳による「パターン認識」が壁だった
ここで重要なのは、男性と仕事、女性と育児を結び付けるパターン認識そのものを「悪い」と決めつけて、やめようとすることではない。「こうした無意識バイアスを自分が持っていることを意識することが大事です。そして、部下への評価、機会提供、育成に影響する言動や意思決定の場面では、それを意識的に是正しながら部下をマネジメントしていくのです」(佐々木社長)
「ANGLE」の元になっているのは、ハーバード大学とワシントン大学の研究者らが開発したIAT(Implicit Association Test)という無意識バイアスの計測法。これにならい、日本人特有の無意識バイアスを計測できるよう、独自に開発してバイアスの程度を可視化している。この分野の国内第一人者である潮村公弘フェリス女学院大学・文学部教授が監修している。
テスト版を受けてみたところ、筆者にも相当なバイアスがあることがわかった。ジェンダーに関する取材は相当してきたつもりだが、無意識の部分は変わらないようで、軽いショックを受けた。そのように伝えると、佐々木社長が「私もかなり、強くあることがわかったから大丈夫です」と言うのを聞いて少し安心した。
年齢に関するバイアスも可視化
また、ANGLEでは、年齢に関するバイアスも可視化できる。高齢化社会の日本では、人手不足への対応や年金支給開始年齢の変更などもあり、定年後再雇用に関する議論が盛んに行われている。ただし、60歳、65歳以降に手掛ける仕事の内容や報酬水準は本人の希望とは離れていることも多い。その背景には、中高年は仕事のモチベーションが低いとか、扱いが難しいという無意識バイアスがありそうだ。
「世界的にもシニア差別は大きな問題とされるようになっています。WHOが世界57か国で行った調査では、6割の回答者が「シニアは尊敬されていない」と答えたというデータもあります。女性やシニアが本当の意味で活躍できる組織にするため、多くの方に、自分の持つ無意識バイアスに気づいてほしいです」(佐々木社長)
ANGLEを受講した管理職の89%が「自分にバイアスがあると気づいた」、そして、94%が「バイアスをコントロールできるようになった」と回答したそうだ。導入企業からは「自身のバイアスに気づき、実際にコントロールするところまで学べる」といった声が寄せられている。
バイアスは誰にでもある。自分で自分が持つバイアスに気づくことでコントロールできるようになり、仕事仲間や部下を公平に扱えるようになる。それは、チームや自身のパフォーマンスを高めることにもつながるだろう。
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