会社内差別を生む「無意識バイアス」の正体 脳による「パターン認識」が壁だった

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自分で自分が持つバイアスに気づくことが重要です(撮影:梅谷秀司)

「あなたは同僚を性別で差別していますか?」。面と向かって聞かれたら、ほとんどの人は「いいえ」と答えるだろう。では、こう聞かれたら、どうだろう。「1歳の子どもがいる女性社員に海外出張の打診をしますか?」。部下が男性だった場合と女性だった場合に分けて考えてほしい。「答えに迷った」という人は、ぜひ、続きを読んでほしい。

ダイバーシティ推進、女性活躍推進を掲げる企業が増えている。人口減少社会で女性労働力に期待が集まることに加え、2015年8月に成立した女性活躍推進法の影響も大きい。しかし現実を見ると、女性管理職や役員が激増した例は、ごく珍しい。

「そこには、論理だけでは解決できないハードルがあります」。コンサルティング会社・チェンジウェーブの佐々木裕子社長は話す。佐々木氏は新卒で日本銀行、その後、マッキンゼーで勤務し、10年前に同社を設立した。これまで事業開発、海外進出、多様性推進などの「組織変革」を手掛けてきた。自己紹介の際はいつも「変革屋です」と言っている。

データや論では「大きな石」が動かない

多くの組織変革を起こしてきた経験から、こう考えるようになった。「他分野の変革では、データや論で組織が動く割合が比較的大きい。ところが、多様性推進の分野については、データや論では大きな石が全く動かないのです」(佐々木氏)。

 佐々木社長のもとには、女性管理職や役員を増やしたい企業から多くの相談が寄せられる。本気で女性を増やしたい、と考える企業の悩みは「候補がいないこと」だったり「男性候補者と比べて経歴が偏っている」ことだ。

例えば男性の場合、営業の一線から経営企画など、様々な分野を満遍なく経験していることが多いが、同じ企業でも同世代の女性は、決まった部門で長年勤務していたりする。人事異動を決める組織や管理職側にも、キャリア選択の意思表示をする本人側にも、無意識のうちに言動や判断の性差が生まれている可能性が考えられた。

加えて、佐々木社長がかかわった女性社員向けの研修に対して、対象者である女性から反発が寄せられることもあったという。これまで性別と関係なく働き、成果を出してきたと自負する女性たちにとって「女性向けの研修」は「女性には足りないことがある」と言われているように感じられたようだ。

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