ボルボ「V60」乗ってわかった最新進化の実力 V70後継の新型ステーションワゴンを解剖

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また、試乗時は横風が強かったが、横風で進路を乱されそうになるとすぐさまサポート操作が入るため安心感が揺らぐことがなかった。

安定したトルク特性

直列4気筒2.0L直噴ガソリンターボエンジンは、254馬力/35.7kgmのエンジンパワー/トルクを発揮する。

カタログに掲載されているトルクカーブで確認できるように、低回転域から5000回転あたりまでの幅広い領域でトルク値は一定(最大トルク値は1500~4800回転の間で発揮し続ける)だ。台形トルクカーブともいわれるこうしたトルク特性は歴代ボルボが大切にしてきた部分。雪道や滑りやすい路面の多い北欧ではとても重宝がられている。

こうしたエンジンやトルクの特性によりドライバーがアクセルペダルをちょっと踏み足した場面でも、その踏み具合に応じたじんわりとした加速度が得られる。今回とは別の試乗時に、大人3人乗車+ラゲッジルームに荷物を満載した(高めの負荷のかかる)状態で高速道路を走行したのだが、やはりここでも加速度の値が一定で継続する(加加速度/躍度である)ため、走行条件や乗車状態によるところの運転操作の変化が少なく、ゆえに長距離の運転であっても身体的な疲労が少ないことが確認できた。

一方で、このような安定したトルク特性はディーゼルエンジンの得意とするところ。V60と同セグメントのSUVであるXC60に搭載されるディーゼルエンジン搭載モデルでは、ガソリンエンジンのひと回り上をいく中回転域での豊かなトルクを体感できる。

その意味で、V60にディーゼルエンジンが用意されていないことは残念であるものの、「プラグインハイブリッドモデルがそうしたゆとりある走りを担当する」(ボルボ・カー・ジャパン)ということから、良しあしの判断はそのプラグインハイブリッド・モデルの登場を待ちたい。ちなみにV60のプラグインハイブリッド・モデルに、普及価格帯の「T6 Twin Engine」とハイパフォーマンス版の「T8 Twin Engine」が用意される。 

日本の道路事情にもマッチする車体サイズ(全幅1850mm)に、ボルボ伝統の設計思想が息づくステーションワゴン・ボディの組み合わせは、発表直後から好調な滑り出しをみせているという。欧州市場ではSUVブームが一段落し、再びステーションワゴンの販売台数が増えてきているが、日本市場ではどのような動きとなるのだろうか。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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