ボルボ「V60」乗ってわかった最新進化の実力 V70後継の新型ステーションワゴンを解剖

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「『XC90』にはじまる新世代ボルボの新型車はいずれもお客様から高い評価をいただいています。一方で、ボディサイズ、とりわけ全幅が日本市場の駐車事情にそぐわないという部分も認識していました。新型V60ではそうした日本の事情を開発段階から本国に直訴し続けてきたことで、全幅を1850mmと一般的な立体駐車場にも納めやすいサイズにとどめることができました。また、単にサイズをコンパクトにしたというだけでなく、SPAプラットフォームもよさを最大限に生かしつつ、最良の解となる開発にも努めています。そうしたことから、V60ではより多くのお客様から支持をいただけるものと信じています」(ボルボ・カー・ジャパン)。

V60の走行性能

ではそのV60の走行性能はどうなのか? 

V60には2タイプのパワートレーンが用意されている。ガソリンターボエンジンモデル(前輪のみエンジン駆動を行うFF方式)と、ガソリンターボ+スーパーチャージャーに後2輪を駆動するモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドモデル(前輪/エンジン駆動、後輪/電動モーター駆動のAWD方式)で、いずれもトランスミッションは8速ATが組み合わされる。V60発表時にボルボ・カー・ジャパンから報告があったように、日本仕様のV60にはディーゼルエンジンは搭載されない。

今回試乗したのはガソリンターボエンジンの最上級グレードである「T5インスクリプション」。試乗時間のおよそ80%が自動車専用道路であったことから、運転支援システムのひとつである「パイロットアシスト」をしっかりと確認できた。

このパイロットアシストとは、ボルボの先進安全技術群である「インテリセーフ」を代表する機能のひとつで、アダプティブ・クルーズ・コントロール(前走車を追従するようアクセルとブレーキを一定の範囲内で自動的に制御する)機能と、車線中央維持(自車の車線中央部分を走行するようにステアリングを一定の範囲内で自動的に制御する)機能を融合させたもの。いわゆるSAEカテゴリーでは「自動化レベル2」に分類される運転支援システムだ。

ボルボでは2016年から日本に導入されている大型SUV「XC90」から、続く「S/V90」「XC60」「XC40」とパイロットアシストが横並びで導入されているが、V60では車線中央維持機能の制御が高度化し、ステアリングのサポート操作が劇的に滑らかになった。

「パイロットアシスト」をしっかりと確認できた(筆者撮影)

これまでも制御は緻密で信頼できるものであったが、車線を認識するために必要な路面の白(黄)線がかすれてしまったり、車線が交錯する場面では、唐突にグッとサポート力が強まったり、カーブではタイヤ2本分程度、内側の進路をとることがあった。

その点、V60ではカーブの始まるちょっと手前からじんわりとサポート操作が始まり、車線のほぼ中央をスムーズに維持してくれる。このとき、ドライバーが車線の少し左寄り、右寄りの位置をとった場合でも、それを受け入れてくれるようになった。こうしたシステムのサポート操作を受けながら走行を継続するという「協調運転」の世界は、この先に訪れるレベル3以上のより高度な自動化レベルが普及する時代で最も問われる部分で、ボルボでは重要なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)として精力的に開発を継続している。

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