速報! 就職人気企業ランキング100--2010年卒業生が選んだ「就職したい会社」
属性別のランキングも見てみよう。男子ランキングでも、マスコミ人気が目立つ。昨年はトップ5に、電通とフジテレビジョンの2社が入っていたが、今年は博報堂とテレビ朝日が加わり、トップ5社中4社がマスコミに。この影響を最も受けたのが、トヨタ自動車。昨年の男子1位から10位までダウン、総合順位に影響を及ぼした(昨年10位→今年30位)。女子ランキングは、マスコミと女子人気企業3社で固められた。総じて現実的な就職先というより、憧れが優先したランキングといえる。
理系に回帰傾向あるも続くメーカー離れ
文系のトップ10企業は、総合とまったく同じ企業名が並ぶ。アンケート回答者の文系比率が高かったことが影響したと思われる。
理系ランキングでは、メーカーが強さを発揮。金融やコンサル業界を中心とした理系採用の拡大で、メーカー離れも叫ばれたが、今年はその傾向は影を潜めた。最近の経済情勢を踏まえた、堅実な選択といえる。ただし、この理系のメーカー人気だが、総合順位で見るとまったく逆の結果となる。ソニー(昨年27位→今年20位)や明治製菓(昨年56位→今年44位)など、一部のメーカーを除いて、そのほとんどがランキングを下げているのだ。前述のトヨタ自動車以外にも、花王(昨年14位→今年34位)や味の素(昨年29位→今年51位)、武田薬品工業(昨年35位→今年83位)など、各業界トップクラスのメーカーが軒並み順位を下げている。経年変化で見ても、上位50位以内のメーカー企業数は、この3年で16社→13社→9社と年々減少している。文系学生のメーカー離れが要因で、進学時における理系離れも含めた構造的な問題といえる。企業単独あるいは業界というよりも、産業界全体としてそろそろ本格的な対策に取り組んでいく必要があるのではないだろうか。
マスコミ人気は揺るがず
業界別のランキングを見てみよう。今年人気のマスコミ業界だが、その中でもテレビ・広告の人気が際立つ。テレビ朝日(昨年15位→今年6位)、日本テレビ放送網(昨年25位→今年10位)、東京放送(昨年54位→今年19位)など、いずれも大きく順位を上げた。しかし、記念受験的な発想で企業選択している学生が、まだまだ多いというのもある。
金融では、総合ランキングの順位こそ下げたが、メガバンク3社の人気は根強い。業界内の順位も昨年とほとんど差がないが、10位にゴールドマン・サックス証券がランクインしたのが目立つ。が、リーマン・ブラザーズ証券の破綻以降、外資系金融企業への得票数は伸び悩んでおり、今後ランキングが下がる可能性は高い。一方、25位野村証券と26位大和証券グループ、36位日本生命保険と40位第一生命保険、48位東京海上日動火災保険と56位損害保険ジャパンなど、昨年同様各業界1位、2位が拮抗した形となった。
電気機器では、ソニーが2年連続首位を獲得。1位から4位までは昨年と同じ順位で、富士通が2ランクアップの5位に入った。しかし、その富士通ですら総合順位では昨年88位から今年104位と順位を下げている。食品、化粧品業界などと比べると、もともと女性人気が高くない業界だけに、ランキングが低くなりがちだが、年々人気が下がっているのは気がかりだ。トップ10に初登場となったのが、9位のアップルジャパン。Macだけでなく、iPhoneなど、独自性の強い製品・サービスに支持が集まったといえる。
商社では、総合13位の伊藤忠商事が三菱商事(17位)、三井物産(23位)を抑えて、昨年に続き業界1位を獲得。ブランドビジネスに強いことから、女子の人気が高いが、今年は男子でも業界1位(三菱商事と同数)となっている。
東西の主要大学で人気の博報堂
最後に、学校別ランキングを見ていこう。学生の投票数が多かった大学を中心に、文系・理系、国立・私立、関東・関西のバランスを考慮した8校を選抜した。博報堂と電通がランクインした6校はすべて博報堂が上位になった点が興味深い。さらに、3校で1位、残り3校も2位と圧倒的な強さだ。
東京大学では、総合ランキングで名前の出てこない企業が目立つ。特に外資系の金融業界とコンサル業界の人気が高い。京都大学も同じような傾向で、これまで見られた関西系メーカーなどの堅実路線の姿がない。これら外資系企業は採用活動の早期化もさることながら、日系企業とは比較にならない高収入が知られるようになった影響と考えられる。
早稲田大学は、トップ10の中にマスコミが7社と、相変わらずマスコミ人気が強い結果に。実際の就職先は、例年メーカーや金融が多いので、まだまだ「憧れ」優先の結果に。それに対し、慶應大学は、マスコミが5社ランクインしたものの、商社3社、コンサル、金融が続き、比較的現実路線のランキングといえる。
法政大学と日本大学は、JTBグループやオリエンタルランドが上位に入ったという点で共通している。人と接するサービス業への志向が高い結果となった。また、この2校のランキングは全体のランキングと極めて近いものとなっている。関西学院大学は、10位に関西電力が入ったが、それ以外は地域性を感じさせるものはなく、こちらも総合ランキングとあまり変わらない顔ぶれに。東京理科大学は、電気機器メーカーや製薬メーカーが名を連ね、東京理科大らしい堅実な結果となった。
総じて、就職活動のスタートラインに立ったばかりで、憧れランキングの域を出ていない結果となった。今後、業界研究や企業研究が進んでいく中で、テレビ・広告のマスコミや外資系企業の人気がどう変化していくか。また、金融業界やメーカーの学生評価はどう変わっていくのか、注目したい。
【調査概要】
調査主体 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所
調査対象 2010年春卒業予定の「ブンナビ! 」会員(現大学3年生、現大学院1年生)
調査方法 文化放送キャリアパートナーズ運営の就職サイト「ブンナビ! 」上
でのWebアンケート
文化放送キャリアパートナーズ主催の就職イベント会場での紙アンケート
※投票者1名が最大5票を有し、志望企業を1位から5位まで選択する形式
調査期間 2008年6月1日~10月19日
回答者数 14,714名(うち男子6,031名、女子8,683/文系12,148、理系2,566)
総得票数 68,351票