3位は、昔から年収が高いと言われるが、業界では万年3位の地位に甘んじている放送業界だ。2017年度の平均年収も879万円、前年度比13万円の微増にとどまった。業界を取り巻く環境は厳しい。広告出稿先がインターネット広告にシフトし、出稿額はリーマンショック前の水準に戻らず、競争は激化するばかり。さらにネットの普及と相まって、構成の安易さや世間感覚とのずれなどが頻繁に指摘されるようになっており、テレビ離れが顕著だ。今回5位につけた投資事業・投資ファンド業界など著しく伸びている業界もあり、万年3位の地位も安泰ではない。
たとえば海運業界もそうだ。平均年収は前年度比で32万円ダウンの776万円。4位から8位までランクを落とした。海運市況自体は2016年を底に緩やかな回復基調をたどっているものの、邦船はコンテナ船とバラ積み船の船舶の採算確保に苦しんできた。邦船大手はようやく収益安定化に向け舵を切り始めたが、成果が出るには時間がかかりそうだ。
旅行業界は11段階もランクダウン
52位の旅行業界も、前年度に比べ11段階もランクを落とした。平均年収は前年度比41万円減の519万円。インバウンド(訪日客)需要で潤っていると思われがちだが、業界を席巻し、恩恵を享受しているのはオンライン旅行会社(OTA)だ。伝統的な旅行会社は防戦一方、OTAに対抗すべく組織再編など急ぐが、まだ業績がついてきていない。市場は拡大しているが、競争激化により厳しさは当面、続くことになる。
一方、世界的な需要拡大で年収がじわりと上昇している業界もある。たとえば化学業界だ。個社で上位50位内に入る企業はないが、平均年収は前年度比17万円増の633万円となり、前年度の28位から24位へと順位を上げた。もっとも2018年度はナフサ価格の高騰と円高の影響で業績、ひいては平均年収が足踏みとなる可能性も高い。だが、中期的には電気自動車の普及に伴い、車体軽量化のための高機能プラスチックや電池部材など需要は増加の一途をたどる。
33位の電子部品業界は、平均年収を取り上げるとき外せない業界だ。業界全体というより、突出した2社が存在するからだ。
そのひとつが大阪に本社を構えるキーエンスだ。FAセンサなどを主体に、計測制御機器を世界で展開している企業だが、40歳モデルの平均年収は2227万円(前年度比204万円増)。個社別でみても堂々の2位だ。電子部品業界の平均年収は608万円と業界平均600万円を上回るが、キーエンスを除外すると599万円と業界平均を下回ることになる。
さらなる注目の1社が、個社ランキング23位に入ってきたオプトランだ。1999年創業の光学薄膜装置を製造・販売する会社で、2017年12月に東証1部に上場を果たした。売上高は333億円と小粒ながら、平均年収は1122万円。営業利益率もキーエンスの50%超にはまだ遠く及ばないが、業界平均10%を上回る20%超を誇る。
社員の半数がセールスエンジニアで、顧客のニーズを絶えず拾い上げる営業姿勢などキーエンスに似ている。現在はアップルへの依存度が高すぎることが懸念されるが、高級自動車のフロントガラス向けやCMOSセンサー向けなど納入先が多様化したときが楽しみな企業だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら