パナ渾身の高級ミラーレス「LUMIX S1」の凄み

ライカ・シグマと組みプロ向けカメラを開発

もっとも、いくら成長市場とはいえ、ニコン、キヤノンという2大カメラメーカーが、フルフレームセンサー採用のミラーレス一眼システムを発表したばかり。キヤノンはすべて、ニコンも電子化以降のすべてのレンズを流用可能だ。ブランド認知の面でも圧倒的な存在であり、同じ電機メーカーであるソニーは、α7で市場を開拓したパイオニア。最後発メーカーには厳しい環境だ。

その中で、ライカとのアライアンス交渉をまとめ、新たにフルフレームセンサー採用機システムへの参入を決意した背景はどこにあるのだろうか?

本間社長がLUMIX S1のプロジェクトについて知ったのは、2016年はじめのことだったという。いや、移管してから“知った”というのは語弊がある。プロ向け映像機器事業とつながっていたLUMIX事業の部隊が本間氏に「自分たちをAVCネットワーク社から独立させてくれ」と自ら売り込んできたことが、AP社移管のきっかけだったからだ。

それまでAVCネットワーク社が管轄していたLUMIXシリーズが、AP社に移った頃と重なる。本間社長は「最初に話をされた時は“とんでもない無謀な話”だと思った」と、そのときの心境を率直に言葉にした。

「何それ?そんなことをやっているの?というのが感想。かつてSDカードの規格策定、ライセンスのプロジェクトに取り組み、カメラ業界の厳しさは十分に知っていた。それ故にプロジェクトに対しては厳しいコメントを出し、徹底した議論を繰り返してきた。一時はフルフレームセンサー採用機への投資を一時凍結し、本当にパナソニックの事業として成立するのかを議論したほどだ」

「GH4シリーズ」の発表が転機に

この風向きが変化したのは、軽量・コンパクト+動画撮影機能を訴求点に開発してきたLUMIX Gシリーズ、GHシリーズのコンセプトを、一気にプレミアム方向へとシフトさせた「GH4シリーズ」の発表だったという。GH4は欧米の一部マニア層へと訴求する製品となり、LUMIXブランドをプレミアム層、プロユースへと向かわせる可能性を感じ始めたという。

そこで戦略の見直し、投資の吟味が本格的に始まり、ライカとのLマウントライセンスへの交渉も始まった。前述したように“撤退しない”のであれば、成長する分野に向けての投資を行う必要があるからだ。

とはいえ、欧米市場におけるGH4は“小さな成功”でしかない。そこで本間氏がLUMIX Sシリーズの商品化を行う条件として設定したのが、GH4に続くマイクロフォーサーズフォーマットのプレミアム機である「GH5(動画・静止画ハイブリッド機」「GH5S(動画性能を重視したハイブリッド機)」の成功、それに「G9(静止画重視モデル)」が写真家コミュニティに対し、一定以上の評価を受けたうえで存在感を示すことだった。

結果は見事に出た。

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