パナ渾身の高級ミラーレス「LUMIX S1」の凄み ライカ・シグマと組みプロ向けカメラを開発

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デジタルカメラ業界はスマートフォン内蔵カメラの高画質化に伴い、一部製品の特徴ある製品を除き市場を失った。そうした中でレンズ交換式カメラのみが、成長はしていないものの、市場規模を維持しているジャンルになっている。

その中での巨人は、言うまでもなくニコンとキヤノンだが、一眼レフカメラシステムを主力とする両者のシステムは、圧倒的な市場規模を持ちながらもマイナス成長が続いている。

CIPA(カメラ映像機器工業会)によると2007年のピーク時には年間約1億台が出荷されていたデジタルカメラだが、主にスマートフォンの影響でカジュアルなコンパクトカメラの売上台数減を中心に2015年までには年間約1300万台まで減少。

こうしたデジタルカメラ市場の縮退傾向は、とうとう一眼レフ市場にも及び始め、日本最古のカメラブランドであるニコンの決算発表にも大きな影響を与えている。ニコンは2018年3月期決算において、3四半期トータルで229億円の増益と好調さをアピールした。しかし、増益は構造改革の効果が出てきた側面が強く、デジタルカメラの売上減を主因とするコンシューマ向け製品の売上不振は根深い。33四半期トータルの収益が409億円減少しているのがその証拠だ。

業界トップのキヤノンも、新機種投入により昨年のレンズ交換式カメラが好調。2018年1〜3月期の決算ではコンパクトデジタルカメラの売上減を補ったとコメントしているが、デジタルカメラとプリンタを製造するイメージングシステムビジネスユニット(BU)は売上高が前年同期比で8.4%減、営業利益は15.5%も目減りした。

こうした中で、一眼レフカメラに代わって消費者が選んでいるミラーレス一眼のシステムを“プレミアムシフトさせていく”のが、業界全体のトレンドである。

“プレミアム・ミラーレス一眼”への流れ

パナソニックが10年前にphotokinaで発表した世界初のミラーレス一眼「LUMIX G1」がその先鞭だったが、小型・軽量のシステムから進んでいた一眼レフからミラーレス一眼への流れも、ソニーα7シリーズの大ヒットに伴い、35ミリフィルムサイズセンサー(フルフレームセンサー)を採用した“プレミアム・ミラーレス一眼”への流れが明確となった。

CIPA統計で年に5%ずつ成長しているミラーレス一眼市場だが、LUMIX Gシリーズが採用するマイクロフォーサーズ、あるいはソニーαシリーズやキヤノンEOS Mシリーズなどが採用するAPS-Cサイズセンサーのシステムは、今後大きな成長が望めない状況になってきている。その中で、唯一成長が続いているのがフルフレームセンサーを採用するミラーレス一眼だ。

パナソニック アプライアンス(AP)社の本間哲朗社長は「2年前ぐらいから、将来はフルフレームセンサーを搭載するプレミアム製品へのシフトが本格化していた」と話す。

「成長戦略を描くのであれば、フルフレームセンサー採用機へと踏み出すか、あるいは事業撤退するか、2つの選択肢しかない」と、参入に至った判断について話した。

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