ベートーヴェン「交響曲第1番」の音楽的冒険

モーツァルトと入れ替わりに登場した天才

筆者のおすすめはベートーヴェンの飛躍の起点となり、かつ19世紀の幕開けを告げる交響曲第1番です(写真:LEXUS / PIXTA)

今週末に聴いて頂きたい名盤は、ベートーヴェンの交響曲第1番です。

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えっ、「運命」とか有名な曲ではなく第1番ですか?とお思いかもしれませんが、食べず嫌いは良くないですよ。

ベートーヴェンといえば、クラシック音楽の名曲名盤案内には交響曲第3番「英雄」、第5番「運命」、第6番「田園」、そして第9番「合唱付き」がよく紹介されています。第1番を扱っているものはほとんどありません。第1番は有名ではありません。しかし、間違いなく傑作です。しかも、作曲家ベートーヴェンの青春が詰まっているのです。

全4楽章で演奏時間は約30分。週末のひととき、一気に聴けば、音楽の王国の愉悦を手に入れられます。

第1番の真実~巨大な楽才の予兆

第1楽章の冒頭からひねりの効いた和音で始まるアダージョです。ここだけで、ハイドン、モーツァルトが確立した交響曲のコンセプトを大胆に発展させようという野心が見え見えです。なかなか主題に行かない。焦らしに焦らします。主題はハ長調。明確で自信に満ちた旋律です。全体的に弦よりも管が目立つ強靭な印象。

続くのが優美で可憐な第2楽章です。あの厳しいツラ構えからは想像しがたいです。

第3楽章はメヌエット。と、記されていますが、メヌエットという柔らかい印象はありません。軽快にして重厚。大胆に展開します。ここには19世紀の標準となるスケルツォの萌芽があります。

そして、第4楽章は、スローテンポで始まります。能ある鷹は爪を隠すのです。が、徐々にペースを上げ、管弦楽の持つパワーの全貌が現れます。第9に通じるベートーヴェン節の大きく豊かな響きの登場で大団円を迎えます。

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