リーマン破綻から10年で世界は変わったのか

今も続く恐怖と後遺症、次に来るリスク

リーマン・ショックは、なぜ起きたのか。10年が経過した現代でも、きちんと正確に分析されて、把握されているわけではない。いったい何が間違っていたのか、誰が誤った判断をしたのか……。きちんと責任が明確にされることもなく、現在に至っている。

そもそも、リーマン・ブラザーズが経営破綻した当時の同社副会長は 「返済に必要な借入額を 35%上回る担保があった」と証言している。にもかかわらず、同社が必要とする資金を周囲の金融機関、いわゆるカウンターパーティは融資せずに見捨ててしまった。当時のアメリカ財務省や中央銀行に当たるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)も、必要な措置を取らずにリーマン・ブラザーズの経営破綻を黙認してしまった。

ジョージ・W・ブッシュ米大統領の2期目の最終段階で、2カ月後の11月には次期大統領選挙が待ち構えていた。そんな状況のなかで、ブッシュ政権がきちんとした対応を取らなかったことが最も大きな原因とも言われている。

リーマン・ショック直接の原因は急激な流動性の枯渇だが、そこに至った原因がはっきりしていない。当時、主流を占めていた「デリバティブ取引」では、銀行が融資した不動産ローンを証券化することで、銀行のバランスシートから離脱させ、銀行は無限に近い形で融資を拡大することができた。そうしたデリバティブ取引は、以前からあったものの、2000年に入ってから急速に拡大した。

その推進役が、ゴールドマン・サックスやJPモルガンといった投資銀行やその傘下のヘッジファンドだが、その背景にはアメリカが商業銀行と投資銀行の垣根を取り払ってしまったことが遠い原因とも言われている。

バラク・オバマ政権時代の2010年には「ボルカールール」を成立させて、投資銀行が自己勘定でリスクを取って金融商品を売買することを禁止し、デリバティブや商品先物の取引も規制。ヘッジファンドや未公開株ファンドへの投資も制限を加えている。

リーマン・ショックに至るまでの金融市場は、まさに現在のようなぬるま湯の経済環境、いわゆる「ゴルディロックス(Goldilocks)相場」と言われ、リーマン・ショックに至るまでのさまざまな経済指標も穏やかで順調なものだった。

ファンダメンタルズは、結局のところ危機を防ぐための指標=シグナルとはならなかったようだ。そして、フランスの投資銀行であるBNPパリバ系のヘッジファンド破綻やアメリカの投資銀行「ベアー・スターンズ」の経営破綻も、今から考えれば明確なシグナルだったのだが、適切な対応が取られなかった。

リーマン・ショックが生み出した過剰流動性と格差社会

一方で、リーマン・ショック直後に湧き起こった「Occupy Wall Street( ウォール街を占拠せよ)」運動は、リーマン・ショックによってさらに拡大した格差社会を糾弾する運動となった。ウォール街の「強欲主義」を厳しく糾弾し、政治の世界でもホワイトハウスで何もかもが決まってしまう「ワシントンコンセンサス 」に対する大きな反対運動が沸き上がっていく。

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