リーマン破綻から10年で世界は変わったのか

今も続く恐怖と後遺症、次に来るリスク

こうした流動性の減少は、現在起きているさまざまなバブルに大きなダメージを与えようとしている。たとえば、現在バブルに近い状態だと考えられるのは次のようなものがある。

ETF(株価指数連動型投資信託)

ETFは、この10年で急速に拡大成長した金融商品のひとつだ。日経平均株価といった指数に連動する「インデックスファンド」が株式市場に上場されているもので、この10年で株式市場では主流商品になってきた。ファンドマネジャーが自分の判断で運用する、いわゆる「アクティブ運用」などが減少して、自動的に指数に連動する「パッシブ運用」タイプのファンドが急激に増えたと言っていい。

問題は、もし株式市場が暴落した場合、ほとんどのETFやインデックスファンドが、急激な資産減少を余儀なくされることだ。人間が運用するアクティブ運用中心の世界では、どんなに暴落しても、すべての投資信託が一斉に動くことは少ない。

それに対してETFなどは、暴落した指数に合わせて、自動的に資産の売却注文が出されることになる。売りが殺到して、市場は大きなパニックになりやすい。これもリーマン・ショック以後の金融市場に起きた変化でありリスクだ。

プライベートエクイティ

リーマン・ショック以後、年金基金や民間の自己運用資金部門は、金融危機によって大きな損失を出した反省から、ヘッジファンドなどの運用会社に資産運用を任せる傾向が増えた。

とりわけ、莫大な資金を持つ年金基金などは、プロの運用会社に運用を任せることが多くなり、中でも「プライベートエクイティ」に投資するタイプの運用会社が大きく注目され、資金も集まった。その結果、ウーバー(Uber)とかテスラモーターズといったまだ実績のない会社が、上場前から莫大な資金を集めていた。日本でも、メルカリやLINEが資金調達では不自由しなかったのと一緒だ。

株式市場や債券市場に資金を投資して得られるパフォーマンスよりも、未公開株や未上場企業に投資するほうが、より大きな運用益を得られる可能性が高い。リーマン・ショックによる株式市場や債券市場の下落は、運用方法そのものも変化させてしまったと言える。

金融イノベーション

2017年は仮想通貨が大きな注目を集めた。いわゆる技術開発によって誕生した新しい金融システムのひとつだが、キャッシュレス化が進む現代社会では仮想通貨のような金融イノベーションスタイルの投資対象が次々に増えていくことが予想される。

リーマン・ショックから10年経過する中で、債券や株式に投資するよりも大きなリターンが予想できる新しい投資スタイルと言っていい。ところが金融イノベーションによってできた新しい投資スタイルはしばしば破綻する。

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