安倍首相vs石破氏「改憲」と「政治手法」で激突

14日に行われる公開討論会が最大のヤマ場に

最大の見どころは10日の記者会見で浮かび上がった憲法改正をめぐる論争だ。昨年5月に「憲法9条への自衛隊明記」を提起した首相は、「スケジュールありきとの批判は承知しているが、自民党総裁として(憲法改正に)一定の目標を掲げなければいけない」として、秋の臨時国会での自民党改憲案提出への強い意欲を示すとともに、9条改正を含めた改憲を、次の任期となる3年で実現する決意を明らかにした。

対する石破氏は、「憲法改正は緊急性のあるものからやりたい」として参院の合区解消などを挙げ、9条改正については「国民の理解がないまま国民投票にかけてはいけない。戦争を知らない世代だけで9条の改正をしていいとも思わない」と異議を唱えた。

石破氏は「党内でも最も先鋭的な9条改正論者」(側近)で、2012年に自民党が決めた憲法改正草案での「戦力不保持の9条2項の撤廃と国防軍創設」の起草者でもある。首相が提起した「9条2項を残したままの自衛隊の存在の明文化」に対しては「首相は(2項削除論では)私とまったく一緒だったのに、なぜ変わったのか」と追及した。

「9条改正」は現実主義と筋論の激突

この論争は、記者会見では「尻切れトンボ」に終わっただけに、記者クラブ討論会での最大のポイントとなる。首相は、「9条2項削除には国民の反対が根強く、国民投票で否決されれば自衛隊違憲論をなくすことができない」との判断から、「実現可能な案」(自民幹部)で国会発議に持ち込み、「国民投票に付すことで、国民の理解を進める」との戦略だ。一方、石破氏は「2項をそのままにして自衛隊を明文化すれば、矛盾を固定化するだけで違憲論争はかえって泥沼化する」と反発している。

改憲論争は「理論的には石破氏に分がある」(首相経験者)との見方が多い。首相の持論を封印した現実的対応は、「『まずは憲法改正ありき』の発想」(同)との批判があるからだ。その一方で、相次ぐ大災害での自衛隊の奮闘を背景に「自衛隊明文化」論は国民の琴線にも触れる状況だけに、各種世論調査でも「首相案」の方が「石破案」より支持が多いのが実態でもある。

このため、首相サイドは「石破氏は筋論を展開すればするほどタカ派色が増し、改憲論争でも国民の首相支持拡大につながる」(側近)と読む。ただ、首相の政治的支持基盤とされる「日本会議」を足場とする党内外のいわゆるタカ派勢力は「本来9条2項は削除するべきだ」(日本会議幹部)と反発する可能性が高い。国民注視の中、討論会で「石破氏がどれだけ鋭く切り込み、首相がそれをどうかわすかが勝負の分かれ目」(自民幹部)となる。

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