安倍首相vs石破氏「改憲」と「政治手法」で激突 14日に行われる公開討論会が最大のヤマ場に

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一方、首相の泣き所とされる「もり・かけ疑惑」も石破氏の突っ込みどころだ。石破氏は「政治が信頼を失えば、どんな立派な政策でも国民の理解を得られない」と首相自身による説明と疑惑の徹底解明を求めている。共同記者会見でも「政治・行政の信頼回復100日プラン」を掲げ、森友学園問題での財務省の公文書改ざん事件などを念頭に「官僚が国民のために働く仕組みを作る。過度な政治の介入で委縮するようなことがあってはならない」などと官僚の忖度を招くような首相の政治手法を批判してみせた。

これに対し首相は「省益優先の弊害を取り除くため、累次の改革で政治(官邸)主導を確立してきた」と"官邸人事"の正当性を強調する一方で、「(国民からの)ご批判は真摯に受け止め、謙虚に、丁寧に政権運営に当たっていきたい」などと疑惑批判は低姿勢で交わした。

ただ、総裁選出馬表明の際に石破氏が掲げた「正直で公正な政治」というキャッチフレーズには石破陣営からも「個人攻撃はよくない」(参院竹下派幹部)と反発が出た。それだけに、公開討論会での追及ぶりは石破氏にとって「両刃の剣」(同)ともなりかねず、首相の固いガードを崩すような厳しい"口撃"ができるかどうかが注目の的だ。

「投票の監視」に怯え、造反は限定的か

一方、討論会で双方が深入りしにくいのが、勝敗ラインの問題だ。すでに、各メデイアの情勢分析などから首相の圧勝は確定的で、合計810票の議員票と地方票で「どれだけの差がつくのか」に焦点が絞られている。記者会見でも「勝敗ラインは?」との質問が飛んだが、首相は「与えられたルールの中で勝利を収めること」と一般論を語った上で「6年前は党員票で石破氏の半分だったから私はチャレンジャーの立場だ」と強調。石破氏も「勝つか負けるかだ。一人ひとりに誠心誠意訴えること以外にない」などと具体的な目標得票数などへの言及は避けた。

ただ、首相陣営の目標は「合計600票以上でのトリプルスコア」で、石破陣営の目標は「地方票での互角の戦い」だ。すでに、国会議員票では「首相支持が340票前後、石破氏支持が45票前後で残り20票前後が未定」との見方が常識化している。地方票についても大手メディアの党員・党友を対象とした情勢調査で「首相支持6割、石破氏支持3割、未定1割」という数字が報じられている。これを合計票数に置き換えれば「首相が580票、石破氏が170票を固め、残りは50票余り」(首相陣営)ということになる。

議員票については「無記名投票だから刃こぼれは出る」(石原派幹部)とはいうものの、すでにほとんどの議員がメディアの調査に首相支持か石破氏支持かを明かしている。過去の総裁選でも「投票所で支持を変えた議員が10人単位でいた」(党事務局)とされるが、「安倍晋三と書く場合は最後に手が横に3回動く。石破茂と書く場合とはまったく違う」との声が出るなど、各派閥から選ばれる投票立会人の監視ぶりまで注目されている。このため党内には「バレた時が大変」(無派閥議員)との怯えも広がっており、今回は「投票所での造反は極めて限定的」(党執行部)とされる。

一方、「開けてみなければ分からない」とされるのが100万人超の有権者による地方票の行方。今回は投票日に党本部での一括集計となった。このため、各都道府県連に郵送投票された票はそれぞれの指定郵便局で厳重に管理され、開票当日に各県連が開票して結果を党本部に報告することになる。ただ、各県連では有権者の住所・氏名を把握しているため、開票後の分析は可能だ。

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