同時に、3つめのことをします。お金にも働いてもらうのです。
鈴香さんは、何かあってもとりあえずは大丈夫と思える、生活費1年分以上の現金がありますので、これからは株式を積み立てていくことにしました。「お金の置き場所」は、税制優遇の大きい制度を優先的に使うことが大切です。
「iDeCo」やNISAを活用する
実は、鈴香さんは52歳ということで「iDeCo」に加入することを躊躇していたそうですが、ぜひ加入すべきです。iDeCoは、掛け金を出すことで、掛け金分が税金の計算から外れて所得税や住民税が節税になるというメリットがあります。還付された分は使わないで貯蓄に回しましょう。また、運用中に出た値上がり益や分配金に課税されませんし、60歳以降の受け取り時にも控除があり、税金が優遇されます。60歳時点で加入期間が最低10年満たない場合は、受け取り開始時期が後ずれしますので、鈴香さんの場合は、「加入が8年以上10年未満」で受給は61歳からになります。
さらにNISA制度も使いたいものです。鈴香さんは、現在の預貯金(証券口座の分も含む)の400万円のうちの半分で「個人向け国債変動10年型」を購入し、残りは普通預金に入れておくことにしました。今後は、毎月のお給料から、毎月、「iDeCo」に上限の2万3000円のほか、「つみたてNISA」で3万3000円ずつ、積み立て投資をしていくことにします。
さて、最後は最初の保険の話に戻ります。鈴香さんがFPから勧められている一時払いの外貨建て変額年金保険は必要でしょうか。初期手数料8.5%、運用関係手数料が資産残高の0.9%、年金受け取り時は年金管理手数料が1.0%だそうです。特に、初期手数料の8.5%は大きいですね。この種の保険は何度かこの連載でも取り上げていますが、この保険も仮に1000万円を支払うと、途端に85万円も取られるのです。今、販売手数料ゼロで信託報酬も0.5%以下の投資信託がたくさんあるというのに、明らかに高コスト商品と言えるでしょう。
また外貨建てですので、受け取り時、円ベースに換算した際に、為替次第では円で支払った一時払い保険料を下回るというリスクもあります。パンフレットに書かれている返戻率は、一瞬の為替レートで切り取って、その後レートが変わらない前提で計算されたものです。大きく見える返戻率が、確実に達成されるという保証はありません。
当該保険の仕組みが複雑でスッキリ理解できないこともあり、鈴香さんは、購入を見合わせました。また、塩漬けにしている投信も、コストが高いこともあり、あきらめて損切りをして解約することにしました。損は痛いけれど、ずっとモヤモヤしていたので、思い切って解約しました。
こうして、今後の資産形成の方向性も決まり、人生への向き合い方を改めて考えていくことで、漠然とした老後への不安もスッキリしたそうです。鈴香さんは「健康に留意して、定年までしっかり働いて行こうと思います」と、明るくおっしゃっていました。
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